考える力とはすなわち、自分自身で思考する能力のこと。AIとの共存が進行していく中、この力が教育界ならびにビジネス界でも強く求められています。
この記事では、必須のヒューマンスキルともいえる考える力をテーマに、考える力がない人に見られる特徴と、この力を身につけるための方法を徹底的に解説していきたいと思います!
- 考える力とは
- 考える力が求められる背景
- 考える力がない人の特徴
- 考える力がある人の特徴
- 考える力が特に求められるシチュエーション
- 考える力を身につける14の方法
- 方法1 : 自分で考える時間を増やす
- 方法2 : 自らの価値観を明確にする
- 方法3 : 自らの思考パターンに気づく
- 方法4 : なぜ?と疑問に思うことを心がける
- 方法5 : 紙に書き出し思考の流れを明確に認識する
- 方法6 : 語彙を増やし表現力を高める
- 方法7 : 自分の考えを相手に話し、納得をしてもらう
- 方法8 : 目標を設定し、常に考える状態を作り出す
- 方法9 : さまざまな物事の程度を数値化していく
- 方法10 : 同時に複数の作業に取り組む
- 方法11 : 仮説を立てながら考えを深める
- 方法12 : 人間観察を通して人の行動パターンをつかむ
- 方法13 : 相手の立場からも物事を考えてみる
- 方法14 : インプットを通して考え方の幅を広げる
- 私自身が考える力を身につけようとした場面
- 考える力を発揮するために必要なもの
- 「考える力がない」を強化する最大の悪習慣
- まとめ
考える力とは
この力は具体的には以下のように表現することができます。
論理的に道筋を立てながら自身のアイディアを展開させ、最終的にある結論に達することができる力
その結論に達するまでには、想定されるさまざまなアイディアの採否について、十分な検討がなされているともいうことができるでしょう。このような力は一言では論理的思考力と表現されますね。
また、考える力そのものは『ヒューマンスキル』とも表現でき、トレーニングや訓練を通して誰でも身につけることが可能なスキル・技能としても位置づけられます。
考える力が求められる背景
背景1 : 教育界からの要請
今、教育界では従来の知識詰め込み式の教育から、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)への転換が進められています。
その学びの冒頭に記されている主体性とは、自ら考え、判断し、行動していくことができるという個人の姿を表します。
つまり、これからの教育では、子どもたち一人ひとりが『自分で考える力』を身につけ、主体的に学習を進めていくことが求められているといえます。
◆ カテゴリー:自分づくりの多様な視点
背景2 : 企業・社会からの要請
ビジネスパーソン全般に求められる力に社会人基礎力というものがあります。この力は以下の3つの能力から構成され、そのうちの一つに頭脳で発揮する力として考え抜く力・考える力が明記されています。
- 前に踏み出す力(アクション)
- 考え抜く力 (シンキング)
- チームで働く力(チームワーク)
なお、考え抜く力はさらに以下の3つの能力要素から構成され、各要素の意味を知ることで、考える力をより深く理解していくことができますね。
- 課題発見力 … 現状を分析し、目的や課題を明らかにする力
- 計画力 … 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
- 創造力 … 新しい価値を生み出す力
◆ カテゴリー:自分づくりの多様な視点
考える力がない人の特徴
ここでは5つの特徴に言及していきます。
特徴1 : わからないことはすぐに誰かに質問する
『質問をする』こと自体は何ら悪いことではないと思います。考える力がある人も質問をすることはあるでしょう。
ただ、考える力の有無が明確に反映されるのは、質問をするまでの時間になります。
つまり、考える力がない人は、何かわからないことがあるとすぐに誰かに質問をしてしまいます。自分で考えるというプロセスがすっかりと抜けてしまっているということです。
特徴2 : いつも周囲の意見に同調する
クラスやチームにおいて協調性を発揮していくことが求められる時はあると思います。そのような時は、臨機応変に自分の意見をチームのそれに合わせていくことが必要となるでしょう。
ですが、考える力がない人は、自らの考えを主張することはせず、常に自身の考えをチームのそれに同調させるということを行っていきます。
そして、そのことの繰り返しは、自分の考えを持たない人というマイナスの評価につながっていってしまうといえるでしょう。
特徴3 : 計画を立てることが苦手
計画を立てるということは、物事の進捗を優先順位を考慮しながら段階的に検討する作業であるといえます。
考える力がない人は、論理的に道筋を立てて物事を考えていくことに未だ慣れていないため、この計画を立てる作業に苦戦してしまうということができるでしょう。
なお、目標を設定し、その達成に向けて着実に歩みを進めていくためには、まさに計画を立てる作業が欠かせないものとなってきます。
そのため、考える力がない人は目標を達成することが苦手であるともいうことができるでしょう。
特徴4 : 周囲を混乱させてしまう
先で述べた特徴3に関連することですが、考える力がない人が全体を先導する立場にあった場合、計画的に物事を進めることが苦手であるため、周囲を混乱させたり、リーダーシップを欠いてしまうことがあります。
また、何か予期せぬトラブルがあると、本人自身も混乱しやすいという面があるでしょう。
その背景には、事前にあらゆる事態を想定(想像)しておくことが苦手という特徴があると思われます。
特徴5 : 常識や固定観念、自らの考えに拘泥している
考える力がないとは、『頭が硬い』、『柔軟性に欠ける』、『融通が利かない』とも言い換えることができます。
考える力を存分に発揮していくためには、必要に応じて、自分の中に形成されている既存の枠組みを取り払っていく必要があるでしょう。
主観的な見方に加え、多様な客観的な物の見方もできることによって、より現実的な思考が展開されるのではないでしょうか。
考える力がある人の特徴
つづいて、考える力がある人に見られる特徴について述べていきます。ここでは5つのことに言及していきます。
特徴1 : 細かく指示を受けなくても次の展開を予測できる
考える力がある人は、自分で考えを進めていくことができますので、例えば、仕事であれば一つひとつ細かに指示を受けなくても、次の展開を予測していくことができます。
まさに、『一を聞いて十を知る』という諺を体現するような形です。
ただ、たとえ予測できたとしても、上司に確認をせずに自主的に進め過ぎてしまうと、問題に発展してしまう可能性もあるかもしれません。
特徴2 : 先を見越して行動していくことができる
先に述べた特徴1に近いものとなりますが、簡潔にいえば先見性があるということになります。
この先の展開を予測(想像)し、それに向けて事前に準備をしたり、行動したりしていくことができます。
多くの人が苦手とする、早め早めの行動を率先してとっていくことができるといえるでしょう。
特徴3 : 成功や失敗の原因を自分なりに分析してみることができる
私たちの活動には上手くいくこともあれば、そうでないこともあると思います。
考える力がある人は、そのような結果となった原因を自分なりに分析してみることができます。
そして、成功であればその再現性を高め、失敗であれば同じ失敗を繰り返さないように努めていくことができるでしょう。
特徴4 : 問題解決への取り組みを途中で投げ出さない
社会人になると、明確な答えが用意されていないさまざまな問題に果敢に取り組んでいくことが求められます。
その時の問題の難易度は、学校教育の中で解いてきた問題よりもはるかに高いものとなるでしょう。
そのような場合でも、考える力がある人は問題解決への取り組みを途中で投げ出すことはありません。
言い換えれば、必ずある一つの解を見出すことができる、それが本当に正解であるかは分かりませんが、必ずある一つの結論に達することができるということです。
困難な問題の解決に向け試行錯誤を繰り返していくためには、その時々で『この案で試してみよう!』という結論に達する必要があります。
考える力がある人は、そのプロセスを着実に踏んでいくことができるといえます。
特徴5 : 周囲の人の考えをもとに、自分なりの答えを導き出せる
周囲の人とディスカッションをしていると、時に自分では思いもよらないアイディアに出会うことがあります。
考える力がある人は、そんな自分にとって新規のアイディアをスルーすることなく、積極的に取り入れ、自身の考え方を磨いていくことができます。
そうすることにより、その時々でより洗練されたアイディアを導き出していくことができるといえます。
これら5つの特徴をまとめていえば、考える力がある人とは主体的に行動することができる人ということになります。
別の言い方をすれば、先頭に立ってリーダーシップを発揮していくことができる人ともいうことができますね。
私たちはその役割に応じて、時にリーダーという立場で行動していくことが求められるタイミングがあります。そのような状況でも、考える力がある人はリーダーシップをいかんなく発揮していくことができるということです。
考える力が特に求められるシチュエーション
これからは『考える力』が強く求められる時代ですが、この力が特に必要となるのはどのような場面でしょうか?ここでは5つのシチュエーションについて言及していきます。
シチュエーション1 : トラブルが発生した時
何か予期せぬトラブルが発生した時は、その状況からの早期復旧が求められます。そのためには可能な限り早い段階で原因を突き止め、それに対応していく必要があるでしょう。
マニュアルで対応可能な範囲であればいいですが、そうでない場合は自分たちで対応策を必死で検討していく必要があります。
まさに、一人ひとりの考える力が求められる状況であるといえるでしょう。
シチュエーション2 : 上からの指示を得られない時
教師やコーチ、上司等から指示を受けられる状況は、それほど考える力が求められない状況といえます。
言い換えれば、上の立場にある人からの指示が届かない状況では、自分自身で最善と思われる案を考え、対応していく必要があります。
例えば、スポーツの場合であれば、種目によってはコーチと選手との距離が遠く、その都度コーチから指示を受けることはできません。
選手自身が考える力を発揮し、ベストなパフォーマンスにつなげていくことが求められます。
シチュエーション3 : 目標を設定する時
目標設定とは、登山に例えていえば、これから目指す山の頂を決めるだけではなく、そこに至るまでのルートを作成する作業までを含んでいるといえます。
山の頂をただ決めただけでは、極端な話、目標を達成できる確率は限りなくゼロに近くなってしまうでしょう。
そして、山頂へ向けたルートの作成とはすなわち、計画を作成する作業ということです。
そこでは、最終目標の達成に向けて、どのような課題をどのような順序でクリアしていく必要があるのかを入念に検討していくことが求められます。
まさに、考える力が本領を発揮するタイミングとなってきます。
シチュエーション4 : オリジナリティーが求められる時
新しいアイディアやコンテンツを生み出すクリエイティブな仕事を行っていく上で、考える力が必要となるのは言うまでもありません。
特に新しいアイディアというのは、学校での職場でも、さまざまな人間活動において、その活動の質を高めていくことに貢献する貴重なものとなります。
そのような新しいアイディアは、誰もがスムーズに生み出すことができるわけではありません。やはりそのベースには、その人自身の考える力の程度が関係していると思われます。
シチュエーション5 : 自己理解を深める時
自分はどのような人間であるのかという自己理解を深めていくためには、自分自身を客観的にとらえながら、その一連の言動を冷静に振り返り、分析していく必要があります。
よく自己理解を深めるのが難しいといわれるのは、自らを客観視することの困難さがあるからではないでしょうか。
そのような客観性は、まさに考える力が発揮されることで見出していくことができるといえます。
その客観性に関していえば、私たちが比較的スムーズに他者にアドバイスすることができるのは、その人のことをまさに客観的に見ることができているからではないでしょうか。
考える力を身につける14の方法
ではいよいよ、考える力を身につける14の方法について述べていきます。
方法1 : 自分で考える時間を増やす
スキル・技能と呼ばれるものは、何もせずにその水準・レベルが上がっていくことはありません。
考える力も同様に、そのレベルを高めていくためには、『自分自身で考える』ということを行っていく必要があります。
幸いにも、いまはコロナ禍の影響により、誰もがお家時間が増えていると思われます。
その時間を何に使うかは一人ひとりの自由ですが、自分自身の将来やこれからの身の振り方について、じっくりと考える時間を確保してみてはいかがでしょうか。
方法2 : 自らの価値観を明確にする
物事を論理的に考えていくためには、そのアイディアの採否を決める判断基準というものが必要となってきます。
そして、その判断基準の役割を果たしているのが、一人ひとりが持つ価値観となります。
あなたが普段から大切にしたい・大事にしたいと思っていること、重要視したいと感じていることが、最終的には、多様なアイディアの採否や物事のあり方を決める判断基準となってきます。
先の方法1で述べた『自分自身で考える時間』の中で、是非、自らの価値観を再確認してみてはいかがでしょうか。
方法3 : 自らの思考パターンに気づく
人は誰しも考え方の癖、思考パターンを持っていると言われます。
例えば、物事をいつもポジティブに考えられる人やネガティブに考えてしまう人が見られます。
また、いつも先入観の影響が大きくなってしまう人や、主観でばかり考えてしまう人もいるでしょう。
何か失敗があると、いつも自分が原因であるととらえてしまう人もいるかもしれません。
そのような自らの思考パターンに気づくことで、冷静に、かつ中立的な立場で物事を考えていくことができるはずです。
方法4 : なぜ?と疑問に思うことを心がける
人が物事について考え出すキッカケとなるのは、『なぜだろう?』と疑問に思うことではないでしょうか。
現代はとても便利な世の中で、人間が感じる疑問はグーグル等の検索サイトやAIが瞬時に解決してくれます。
ですが、それらのツールに頼りすぎてしまうと、自身の考える力を鍛えたり、その能力を発揮する機会を確保することが難しくなってしまいます。
もし、あなたの近くに子どもたちがいるならば、彼・彼女らがどんなことに『なぜ?』と発しているのか、その様子を観察されてみてはいかがでしょうか。
疑問に思う対象についての情報を、効率良く収集することができるのではと思います。
方法5 : 紙に書き出し思考の流れを明確に認識する
考える力とは、論理的思考力と言い換えることができます。
つまり、考える力とは、論理的に道筋を立てて物事を考えていく力ということになります。
そのような論理的な思考の流れを、その都度明確に認識することができれば、より効果的に考える力をつけていくことができると思われます。
そこで、思考の流れを明確にする手段として挙げられるのが、自身の考えを紙に書くというものです。
デジタルの時代に逆行するようですが、自身の思考の中身やその流れを明確にする上で、紙に書くという作業は非常に優れているといえます。
また、実際に手を使って文字を書くという行為は、脳に多くの刺激を届けることができるともいわれています。
スマホの操作でも指を使いますが、上下左右のスクロールに比べると、確かに、ペンをしっかりと握り文字を書く行為の方が、脳への刺激は多そうに感じますね。
方法6 : 語彙を増やし表現力を高める
思考の流れやその個々の中身を明確にするためには、それらの内容をしっくりとくる適切に言葉で表現できること大切です。
『○○な感じ』といった曖昧な表現では、どこか気が抜けてしまい、その時々の思考の流れをしっかりと踏んでいくことが難しくなります。
また、語彙力を高めていくためには、多様な表現の言葉をたくさん覚えるだけではなく、それらを実際に使いこなせていく必要があります。
その練習としては、言い換えが適切ではないでしょうか。その練習の機会は日常の会話の中にも認めることができます。
例えば、
A : 暑いですねぇ。
B : 暑いですね。
と、ただオウム返しにするのではなく
A : 暑いですねぇ。
B : そうですね。湿度も高く蒸し暑いですね。
というように、表現を変えて相手に伝えていきます。
このような日常の会話の中でも言い換えを意識しつづけることにより、あなたの語彙力や表現力は着実に高まっていくはずです。
方法7 : 自分の考えを相手に話し、納得をしてもらう
この方法は端的に言えば、おしゃべりを通して考える力を身につけていこうというものです。
具体的には、自分の考え・アイディアを相手に伝えるのですが、ただ一方的に伝えるのではなく、きちんと納得をしてもらえるように伝えていくという形です。
当然、納得してもらうためには論理的に話をしていく必要があり、伝える側で話の内容が頭の中で整理されていることが求められます。
また、わかりやすさという点では、例えば、結論を先に明確に伝え、次にその理由を順序よく補足していくといった流れが想定されます。
人のコミュニケーション能力において、納得させるというのは高度なスキルとして位置づけられます。それだけ、そこには考える力を身につけられる要素が含まれているということではないでしょうか。
方法8 : 目標を設定し、常に考える状態を作り出す
考える力をつけていくためには、自分で考えるという作業にコミットしていく必要があります。
そのためのモチベーションを高めていくためには、自らを考えざるを得ない状況に追い込んでいくという方法が挙げられます。
そのためにはどうすればよいのか。一つの方法は目標を設定するというものです。
そして、その時の目標は、自分自身がその達成を強く望むような内容でなければあまり意味がありません。
達成したいと強く願う内容だからこそ、目標を達成するための方法を必死で考えつづけていくことができます。
繰り返し粘り強く考えるという姿は、考える力の効果的なトレーニングになっていくはずです。
自らが強く望む目標を見出していくためには、自身がこころから望んでいることや価値観、性格、種々の能力や特徴等を把握する自己分析・自己理解の作業を併せて進めていく必要があるといえるでしょう。
方法9 : さまざまな物事の程度を数値化していく
私たちは日々の生活の中で、どのくらいのことを数値化できているでしょうか。
例えば、家で出勤前に朝食を準備している最中であれば、パンを焼く時間、飲み物や食べ物を電子レンジで温める時間、コーヒーを淹れる際のお湯の量、そして、朝食を落ち着いて食べるのに必要な時間など。
これらの変数は必ずしも数値化する必要はないと思われますが、適切な程度を明確に数値化することができれば、自らが望む状態を高い確率で達成していくことができます。
また、その達成を何度も再現していくことができるということで、それはまさに小さな成功体験と呼べるものではないかと思います。
人はそのようなポジティブな経験をすると、『また成功したい』、『もっと上手くやりたい』といった欲求が湧いてきて、その達成のために必要なことについて自ら考え始めるという特徴があります。
そして、そのような意欲的な知的活動は、自身の考える力を強化していく上で、一定の役割を果たしてくれているのではないでしょうか。
方法10 : 同時に複数の作業に取り組む
勉強や仕事でも、日々、ただ一つのことだけに取り組み続ければ良いというわけではなく、実際には複数のことを同時にこなしていく必要があります。
そのようなマルチタスクの状態は、考える力のトレーニングに適しています。
なぜなら、それぞれの作業を完了させる期日を意識しながら、全体の進捗状況を把握し、個々の作業の優先順位を決定していく等と、考えるべきポイントが多岐にわたるからです。
実際に複数の作業に同時に取り組み、徐々に負担が減ってきたと感じられるのであれば、それはマルチタスクに対応できるほどの考える力が身についてきた証拠といえるのではないでしょうか。
方法11 : 仮説を立てながら考えを深める
限られた時間の中である結論に達するためには、論理的思考を効果的に展開する思考の方向性というものがあると良いです。
そのような方向性が意味するところは、例えば、『○○の原因は△△かもしれない』といった仮説となります。
学術研究の世界では一般的なことですが、まず研究の仮説を立て、実際に実験や調査を行い、データを分析することで、その仮説の真偽を確かめていくことになります。
このような(1)仮説を立てる、(2)仮説の検証を意識しながら考えを展開する、といった流れを作ることで、より効果的に論理的思考力をつけていくことができるはずです。
方法12 : 人間観察を通して人の行動パターンをつかむ
いまは芸能人や有名人に限らず、一般の人々のさまざまな言動までが、ヤフーニュース等においてこと細かく報道され、その是非が身近な話題の一つとなっています。
一見、それらの情報は受け流してもよいように思われますが、その内容を注意深く分析することによっても、考える力は身につけていくことができます。
例えば、芸能人や有名人であれば、第一線で活躍しつづけることができる人と一時的な活躍に留まってしまう人の違いは何か?
人は成功を手に入れると、どのように変わっていってしまうのか等について、観察を通して認識を深めていくことができます。
また、そのような人間観察は、テレビやネットの中の人物に限らず、自分の周りの人々を通してでももちろん可能です。
人はどのような時に失敗をしてしまうのか、またその原因は何か?
つい我が出てしまう瞬間はどのような時か?
笑いを誘うことができる話題やそのタイミングとは?
人は本音と建前をどのように使い分けているのか? などなど。
そのような人間観察を通しては、人の行動パターンというものが徐々に掴めていくことができると思われます。
それらの情報は、いま現在、そして、これからかかわる多くの人との関係のあり方をその都度考え、適切に判断していく上で欠かせないものとなっていくのではないでしょうか。
方法13 : 相手の立場からも物事を考えてみる
誰もが毎日を快適に、穏やかに過ごしたいと願うはずですが、現実は必ずしもそうではないといえます。
その理由は、自分が期待するどおりに周囲の人々が反応、行動してくれることは少ないからです。
これは至極当然のことで、一人ひとり性格も違えば感じ方や価値観、思考・行動パターンも異なります。
人によっては自分が望む形とのギャップを目の当たりにすることで、不満やイライラを感じてしまうことでしょう。
ではどうすればこのような対人的なストレスを軽減することができるのか。
その方法の一つは、相手の立場からも物事を考えてみるというものです。
例えば、自分のこの言動は他人にはどのように見えているだろうかと想像してみます。そうすることで、自らを客観視できるとともに、相手の立場にも配慮した言動を取ることができるようになります。
そして、そのような複数の立場から物事を考えられることで、主観と客観のバランスの取れた、より現実的な思考を展開していくことができるはずです。
方法14 : インプットを通して考え方の幅を広げる
考える力では、ある一つの結論に向けて、さまざまなアイディアの採否が論理的思考の中で吟味されていくことになります。
その際、質の高い深い思考を展開することができるかは、そこでどれだけ多様なアイディアを候補として出していくことができるかにかかっているといっても過言ではないでしょう。
では、その多くのアイディアはどこにあるのか。もちろん、自身の中から生み出されてくることもあるかもしれませんが、より効率的なのは、外部からインプットしていくということです。
外部から考え方をインプットする方法 その1
その方法としては、まず読書が挙げられます。
比較的安価な費用で、第一線で活躍されている国内外の人物の考えをインプットしていくことができます。
自分のペースで、しっかりと咀嚼しながら新たな考えをインプットしていくことができるといえます。
外部から考え方をインプットする方法 その2
次に挙げられるのは、グループディスカッション等の場において、多様なメンバーと実際に意見交換を行うというものです。
この方法は学校や大学であれば、同年代の仲間が抱く多様な考えに触れることができるでしょう。
そこで触れることができる考えは、実際にグループディスカッションに参加した学生たちの感想を見ると、自分では思いもよらないものであることが多いといえます。
そのような新規のアイディアは、確実に自らの考え方の幅を広げることに貢献するといえるでしょう。
なお、実際に多様な他者との交流を通してインプットを行うこの方法の副次的効果として、コミュニケーションスキルの向上が挙げられます。
考える力に加え、コミュニケーションスキルも同時に鍛えることができるということです。
私自身が考える力を身につけようとした場面
参考までに、私が学生時代に考える力をつけようとした場面を紹介させていただきます。
主に挙げられるのは、論文の執筆を行っていた場面で、その中でも特に考察の部分になります。
考察とは、例えば何か実験や調査を行った時に、
- どうしてこのような結果が得られたのか?
- この結果から何がいえるのか?
- 最終的に、どのような結論が導かれるのか?
等について詳しく述べる箇所です。
現在、教員として学生たちが卒業論文に取り組む姿を間近で観察していても、やはり考察への執筆に一番苦戦している様子が見て取れます。
考察における執筆を着実に進めていくためには、やはり考える時間を多く確保し、関連する多数の資料を参照しながら考えを深めていく必要があります。
不器用な私の場合は、学食で一人で昼食・夕食を取りながら、考える作業も並行して行っていました。
このように、考察の執筆には多くの時間が必要となりますが、どの学生も最終的には、卒業論文できちんと考察の内容を仕上げてきます。
最初は「絶対に無理~」、「ぜんぜんわかりません」等と反射的に発してしまいますが、それらは単なる思い込みであるということができます。
考える力をつけていくため、さらには、自らの考える力に気づいていくためには、とにかく一人でとことん考えてみることが必要なのかもしれません。
そして、そのためには、「これを仕上げないと卒業できない(かも)」といった形で、自らに一定の負荷をかけていくことも有効であるといえそうです。
考える力を発揮するために必要なもの
考える力を発揮するとは、心理的なパフォーマンスを発揮するとも言い換えることができます。
この記事の最後では、そのようなパフォーマンスをいかんなく発揮していくために必要なものについて考えてみます。
必要なもの1 : 十分な休養
身体的なパフォーマンスを発揮していく上で十分な休養(睡眠)が不可欠であるように、心理的なパフォーマンスの発揮においても、休養を欠かすことができません。
心理的および身体的パフォーマンスは、心身相関の考え方からも、両者は密接に関連しあっています。
つまり、身体が疲れ切っている状態では、考える力を発揮していくことは困難になるということです。
よくいわれるように、朝早くや午前中の時間帯は、知的な活動に適したタイミングであるということができそうです。
必要なもの2 : ストレスを溜めすぎない思考習慣
考える力という心理的パフォーマンスを発揮していくためには、文字通り、良好な心理状態であることが理想的です。
もっと分かりやすくいえば、不安や心配、緊張や不満、イライラといったストレスを溜めすぎないように、物事の考え方・とらえ方に注意を払うということです。
なぜなら、人は考え方・とらえ方次第で、身の回りのさまざまな物事や出来事がストレッサー(ストレスの原因)となり、そこからストレス反応が生じてしまうからです。
心身に悪影響を及ぼすほどストレスを溜めすぎないためにも、思考習慣ともいえる物事の考え方・とらえ方に注意を払っていけたらと思います。
ストレス反応を左右する考え方・とらえ方に興味・関心がある方は、以下の関連記事も参考にしてみてください。
「考える力がない」を強化する最大の悪習慣
ズバリ、最大の悪習慣は目や耳から入ってきた情報を何も考えずに鵜呑みにするということです。
情報過多の時代、私たちは日々膨大の量の情報に瞬時に触れることができています。
当然、それらの情報がすべて正しいものであるかというと、必ずしもそうではないと思われます。
便利な世の中になった反面、情報が手軽に手に入る感覚に慣れていってしまうと、私たちの考える力はますます低下していってしまう可能性があります。
手に入った情報を無条件で受け入れるばかりではなく、常にそれと一定の距離を取りながら、上手く付き合っていくことが求められると思います。
まとめ
考える力を身につける14の方法、いかがでしたでしょうか。
学校教育の過程で良く耳にする『勉強ができる・頭がいい』という特徴と、この記事のテーマである『考える力がある』とは、必ずしもイコールではないと思われます。
前者は、より多くの知識を暗記することで体現していくことができますが、後者は、それら従来の知識を最大限に活用しながら、新たなアイディアを創出していく力ということができるからです。
そこの差異を明確に区別することで、『自分も考える力をつけていける』といったマインドセットにつなげていくことができるのではないでしょうか。
そして、あなたが考える力のトレーニングを具体的に進めていく上で、この記事で紹介をした多数の方法が少しでもお役に立てば幸いです。
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