心身相関とは【具体例多数】気持ちを上手く切り替えるヒントあります

多様な能力・視点
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みなさんは「心身相関」という言葉をご存知ですか?簡単にいえば、あなたの心と身体は密接に関連しあっているということを表す言葉です。

私は大学で『スポーツ心理学』の授業を担当していますが、その一連の内容をより深く理解するための重要なキーワードの一つとして、この心身相関を繰り返し学生に提示しています。

この記事では、心身相関の意味をはじめ、この心と身体の関連性を詳しく知ることの意義メリットについて述べていきたいと思います。

この記事を書いた人
しまもと

法政大学スポーツ健康学部准教授 / 専門は自分づくりを支援するライフスキルコーチング / 20年以上、自分づくりのプログラムと研究に没頭する変わり者 / 大学では毎年300名以上の学生とスポーツ心理学をベースに自分づくりの授業を行う / 大修館書店による月刊「体育科教育」の巻末エッセイを奇数月に担当中

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心身相関とは

繰り返しますが、心身相関とは心と身体のつながり・関連性を示す言葉です。実際、私たちは日々多くの心身相関の事象を体験・経験しています。

その個々の内容については後述しますが、どちらかというと、私たちは心から身体に向けての関連性を実感したり、考えたりする機会が多いのではないかと思います。

例えば、不安や緊張、イライラや怒りといった心理的ストレスや情動が身体の調整に影響を与え、それによってさまざまな身体反応が生じるといった形です。

スポーツ心理学の授業において、心身相関が重要なキーワードとして位置づけられるのはそのためです。

心が身体に及ぼすさまざまな影響を理解し、それをもとに試合場面でのパフォーマンスの発揮につなげていこうというわけです。

このような心理面の身体的パフォーマンスへの影響は、実力が拮抗してくるハイレベルでの戦いになればなるほど大きいといわれています。

例えば、世界最高峰の舞台であるオリンピック・パラリンピックに出場する選手にとって、メンタル面の強化やマネジメントは非常に重要な検討課題であるということができるでしょう。

 

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心身相関の例1 : 心から身体に向けて関連するケース

では次に、心身相関の具体例を述べていきたいと思います。まずは心 ⇒ 身体」の方向で関連するケースです。

以下はほんの一例となりますが、個々の内容からも喜怒哀楽の感情が身体的反応と密接につながっているということがお分かりいただけると思います。

 

緊張すると  ⇒ ⇒ ⇒  身体が硬くなる / 動作がぎこちなくなる / 手に汗をかく

 

不安や心配になると  ⇒ ⇒ ⇒  落ち着きがなくなる / 早口になる / 呼吸が浅くなる

 

落ち込むと  ⇒ ⇒ ⇒  下を向く / ため息をつく / 口数が減る

 

悲しくなると  ⇒ ⇒ ⇒  涙が出る / うなだれる

 

イライラや怒りを感じると  ⇒ ⇒ ⇒  動作が激しくなる / 大声を出す

 

トラウマを思い出す  ⇒ ⇒ ⇒  関連する動作が抑制される

例えば、体育における跳び箱で一度危険な目に合った子は、その後、恐怖心からスムーズに跳び越えることが難しくなってしまいます。

 

怖い / 恐怖を感じる  ⇒ ⇒ ⇒  鳥肌が立つ

 

嬉しくなる  ⇒ ⇒ ⇒  スキップする / 万歳する / 笑顔になる

 

自信がある  ⇒ ⇒ ⇒  積極的に人とかかわる / 新しいことにチャレンジしていける

 

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心身相関の例2 : 身体から心に向けて関連するケース

今度は反対に、身体 ⇒ 心」の方向で関連するケースを見ていきたいと思います。

 

運動する / 身体を動かす / 悩みや愚痴を吐き出す  ⇒ ⇒ ⇒  気持ちがスッキリしてくる

 

ストレッチをする / 深呼吸する / 湯に浸かる  ⇒ ⇒ ⇒  気持ちがリラックスする

 

筋肉がついてくる  ⇒ ⇒ ⇒  自信もついてくる

 

ケガをする  ⇒ ⇒ ⇒  気持ちが落ち込む

部活動でスポーツに取り組む人は、ケガをしてしまうことで気持ちが大きく落ち込んでしまうケースが多く見られます。

 

身体をたくさん動かす  ⇒ ⇒ ⇒  気持ちも活発になってくる

 

胸を張り、顔を上げて歩く  ⇒ ⇒ ⇒  気持ちが前向きになってくる

 

声を出して笑う  ⇒ ⇒ ⇒  気持ちが明るくなってくる

 

これらはあくまでも一例ですが、人の情動や感情は、私たちの行動や動作、そしてアクションに伴って変化していく様子が分かると思います。

つまり、情動や感情は常に私たちの行動を一方的に支配しているわけではないということができます。

 

近年、怒りの感情を受け入れ、それを適切にマネジメントしようとする「アンガーマネジメント」が注目されています。

私たちをコントロールしてしまう怒りの感情を逆にコントロールしようとする手法には、心身相関の考え方が応用されているといえます。

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心身相関の利用 : 自己コントロールの鍵は身体からのアクション

スポーツ心理学の学問分野では心理的競技能力という考え方があり、その1つに「自己コントロール能力」というものがあります。

これはその字の通り、情動や感情を必要に応じて自らコントロールしていくことができる能力のことです。

具体的には、イライラや怒り、不安や緊張といった感情にその都度流されるのではなく、それを適切な状態に自らコントロールしていくことができる能力ということになります。

そして、そのような高度な心理的能力を高めていくための鍵は、この記事のテーマである心身相関に見出すことができ、具体的には、身体から心へ向けての関連性に着目していくということです。

 

例えば、意識的に笑顔・スマイルを作ることで、ネガティブな気持ちをポジティブな状態へ変化させようとする手法があります。

私たちは笑うことによって気持ちが前向きになっていきますが、その関連性を意図的に利用しようとするものです。

運動やスポーツを行う際、体力的に苦しい場面では表情も険しくなっていきますが、そこで意識的に笑顔を作ることで、心理面への負の影響を少しでも和らげることができるのではないでしょうか。

そのような表情の変化に加え、歩行時の姿勢から気持ちに働きかけていくこともできるでと思われます。意識的に胸を張り、顔の向きを上向きに変えることで気持ちをポジティブにしていこうとするものです。

 

心身相関の考え方にもとづけば、身体をアクティブな状態にしていくことで、気持ちもアクティブな状態に移行させていくことができると考えられます。

このような身体から心に向けての関連性を意識的に実践していくことで、自己コントロール能力を高めていくことができるのではないでしょうか。

そして、そのような能力を高めていくことはストレスの軽減につながり、結果として日々をより快適に過ごすことにつながっていくと思います。

 

カテゴリー:自分づくりとストレス

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心身相関の形 : 情動・感情と身体の動きはセットになっている

私たちの情動・感情と身体のあり方を注意深く観察していくと、両者はセットになって日々の生活の中で表出しているということができます。

例えば、笑顔のままイライラしたり、怒りの感情を持つことは難しいといえ、笑顔はあくまでもポジティブな感情と強く結びついているといえます。

 

また、ガッツポーズをしたまま、落ち込んだり、悲しんだりといった負の感情を示すことも簡単ではありません。

同様に、姿勢をうつむき加減にしたまま、ポジティブな感情を持つことも簡単ではないと思います。

このような感情と動作との密接な関連性を一つひとつ知ることで、意識的に感情をコントロールしていくためのヒントを得ることができるのではないでしょうか。

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まとめ

心身相関は心から身体へ向けた関連性だけではなく、その逆も成立する考え方です。

イライラや不安、緊張、心理的な負担感であるストレスを軽減するために、私たちにできることの一つは、身体からのアクションを自ら起こしていくことといえます。

それは何も運動やスポーツといった激しいものである必要はなく、意識的に笑顔を作ったり、姿勢を正したりといったものでも構いません。

まずは、身体からアクションを起こすことにより、情動や感情を自ら変化させていくことができるといった実感を得ることが必要ではないでしょうか。

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