ライフスキルとは?WHOが示す10項目の教育目標の意味|簡単にも解説

自分づくりの多様な視点
スポンサーリンク

ライフスキルってなに?簡単に解説すれば、下の図にあるように、私たちの生涯にわたる成長を支える幹と根っこの役割を果たすものです。

なぜ、そのように考えられるのか、この記事ではライフスキルについてわかりやすく、かつ詳しく解説をしていきます。

また、21世紀における教育の基本目標である『生きる力』にも着目し、その主要な要素である確かな学力豊かな人間性健康や体力とライフスキルとの関連性についても触れていきます。

この記事を書いた人
しまもと

法政大学スポーツ健康学部准教授 / 工学部出身の心理学者 / 専門は自分づくりを支援するライフスキルコーチング / 大学では毎年300名以上の学生にスポーツ心理学をベースに自分づくりの授業を展開 / 自分づくりのコンテンツをより多くの人とシェアするべくブログ「しまらぼ」を開設

しまもとをフォローする
スポンサーリンク

ライフスキルとは

 

ライフスキルの定義

ライフスキルにはさまざまな定義が見られますが、現在、最もよく知られているのはWHO(世界保健機関)による以下の定義であるといえます。

日常生活の中で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力

 

これだけの内容では、正直ちょっと分かりづらいですね。特に心理社会的能力とは具体的にどのような能力のことなのでしょうか?

この部分については追って説明をさせていただきますので、次に、ライフスキルの具体像について見ていきたいと思います。

 

ライフスキルを構成する能力要素

先ほどのWHOは、定義に加えてライフスキルを構成する10の能力要素も示しています。以下がその一覧となります。

  • 意志決定
  • 問題解決
  • 創造的思考
  • 批判的思考
  • 効果的コミュニケーション
  • 対人関係スキル
  • 自己認識
  • 共感性
  • 情動への対処
  • ストレスへの対処

 

この一覧を見ても分かるとおり、ライフスキルそのものは多様な能力から構成されており、ライフスキルの英語表記はLife skillsと複数形になります。

 

また、ライフスキルは生活技能と表現されることがありますが、例えば、読み書きなどの技術的、実際的な『生活のためのスキル』とは区別する必要があるといわれています。

あくまでも日々の生活を建設的かつ効果的に送るために必要な、心理社会的能力であるということです。

さらに、より長期的な意味合いを込めて表現するとすれば、生き方の技能といった感じになるのではないでしょうか。

 

ところで、10の能力要素についてもう少し補足すると、これらの要素は相互補完的なものをペアにして、以下の5つの主領域に分けて理解していくことができます。

 

領域1 : 意志決定 ⇔ 問題解決

領域1は、生活に関する多くの決定を建設的に行うためのスキルと、日常の問題を建設的に処理するための能力から構成されます。

特に前者のスキルは主体的な意志決定が望ましいとされ、そのような形での意志決定は、より健康的な生活の実現につながるとされます。

 

主体性がないってどういうこと?どんなときに主体性は低下する?
あなたは主体性がある方ですか? ない方ですか? この記事をクリックしていただいたあなたは、おそらく後者の方と感じられているのではないでしょうか。 この記事では主体性がない人の特徴をはじめ、あなたの主体性を低下させてしまう要因について詳しく...
一人ひとりの主体性を育てていくにはどのような対応が必要?
まず前提として、この記事は一人ひとりの『成長』を促したり、導いたりする立場にある方に向けて書かれているものとなります。 また、その成長の部分を具体的にいえば、個人の主体性を育てるという点に着目しています。 主体性とは、自...

 

領域2 : 創造的思考 ⇔ 批判的思考

領域2は、人の考える力に関する要素から構成されます。

具体的には、既存のアイディアをもとに新しいアイディアを生み出す思考力と、情報や自身の経験を客観的に分析する能力から構成されています。

 

思考停止を招く13の原因といますぐ思考を活性化させる方法10選!
『思考停止してる』とは、ネガティブな人物評価の際に使われる表現の1つです。なぜ、思考停止がそのような評価につながるのでしょうか? その理由は、思考停止とは簡単にいえば自分の頭で考えていないということであり、その様子からは非学習的、非自...
思考力を鍛えるコツは「疑問に思わない」という思考習慣を変えること!
あなたは普段、どのようなことに疑問を抱いていますか? コロナはいつ終息するのか?というスケールの大きな疑問から、明日の天気はどうなるのかな?といった身近な疑問まで、人間は疑問に思うことで頭を使って考え始めます。 思考力(考える力...

 

領域3 : 効果的コミュニケーション ⇔ 対人関係スキル

領域3は対人的な能力要素から構成されています。

一つは自分たちの文化や社会的状況にあったやり方で、言語的または非言語的に自分というものを表現する能力です。

もう一方は、マナー(ビジネスマナー)等を踏まえた適切なやり方で、多様な人々との関係を作り、維持し、発展させ、さらには解消することができる能力となります。

 

マナーを守ることの意味やメリットをわかりやすく詳しく解説します!
マナーを守る・守らないは個人の意思に委ねられていますが、結論からいえばマナーは守る方が本人のためになるといえます。なぜ、そのような結論が導かれるのでしょうか? 今回は身近なテーマであるマナーとは何かを振り返りながら、マナーを守る意味や...
コミュニケーションが苦手の原因は能力不足?性格との関係もチェック!
「コミュニケーションが苦手」の原因は、現在のあなたの性格(パーソナリティ)の状態にも見られるかもしれません。 もちろん、技能面でのレベルアップも大切だと思いますが、それだけでは根本的な解決にはつながらない可能性があります。 ...

 

領域4 : 自己意識 ⇔ 共感性

領域4を構成する自己意識と共感性のうち、前者は意味としては自己理解と表現しても良いもので、自分の性格や自分の長所と弱点、そして、したいことや嫌なことを認識することとなります。

また、共感性があれば、自分とは全く異なった人を理解し、受け入れることが可能になるといわれます。

 

エゴグラム診断の結果を読み解く6つの見方|理想の自分へのアプローチ
自分とはどのような人間なのか?この疑問へのアプローチとして、多くの人は自分の性格について考えるのではないでしょうか。その際、力になってくれるのが性格検査です。 今回は数多くある性格検査の中からエゴグラムを取り上げ、その診断結果を徹底的...
ジョハリの窓をわかりやすく解説|リアルな自分は周りが教えてくれる!
人は誰しもいろいろな顔を持っていると思います。それを実感できるのは主に対人場面ではないでしょうか。 家族や親友といる時、友だちといる時、街中にいる時、そして、パートナーと一緒にいる時、あなたはどのような自分を表に出していますか?あるい...

 

領域5 : 情動への対処 ⇔ ストレスへの対処

最後の領域5は、精神的健康を維持・増進するための能力要素となります。

一つは自分や他者の情動を認識し、その情動が行動にどのような影響を及ぼすかを知り、情動に適切に対処する能力のことです。

もう一方は日々の生活におけるストレス源(ストレッサー)を認識し、ストレスの心身への影響を知り、ストレスのレベルをコントロールする能力となります。

カテゴリー:自分づくりとストレス

ストレス耐性を高める方法|鍵はストレスの原因をどれだけスルーできるか
ストレス社会を生き抜く現代人にとって、ストレスへの耐性を高めることは大切です。ところでストレス耐性とは、どれだけストレスに耐えることができるかという我慢強さのことを指すのでしょうか? この記事では、ストレス耐性を私なりに定義しながら、...

 

ライフスキルとソーシャルスキルの違い

ライフスキルと類似する能力にソーシャルスキルというものがあります。

ソーシャルスキルとは簡単にいえば、社会の中で多様な人々と上手く関係を築いていくために必要な能力と表現することができます。

社会的な動物である私たち人間にとって、必要不可欠な能力といえるのではないでしょうか。

 

では、ライフスキルとソーシャルスキルの違いとは何でしょうか。

結論からいえば、ライフスキルとはソーシャルスキルを内包したより広義な概念であるということができます。

 

さらにいえば、ライフスキル自体は社会的な能力に加え、一人の人間として自立し、主体的に生きていくために必要な能力をも含んだ概念であるということができると思います。

そのような個人内で発揮される能力要素としての意味合いが強いものとしては、以下の7つが挙げられると思われます。

  •  意志決定
  •  問題解決
  •  創造的思考
  •  批判的思考
  •  自己意識
  •  情動への対処
  •  ストレスへの対処

 

残る3つは、対人間で発揮される能力要素としての意味合いが強いものという理解になります。

  •  共感性
  •  効果的コミュニケーション
  •  対人関係スキル

 

ただ、10項目の能力要素は密接に関連し合っているため、スキルの機能として明確に線引きをすることはあまり現実的ではないと思われます。

あくまでも、ライフスキルの全体像を分かりやすくするための分類としてとらえるのが良いのではないでしょうか。

 

ライフスキルを必要とするのはだれ?

ライフスキル自体は、小学校年代の子どもたちを中心として、その獲得が支援されているといえます。

一方で、WHOによるライフスキルの定義に加え、この記事内で解説するその能力としての価値を合わせていうと、ライフスキルは子どもから大人までの幅広い層に求められる能力ということができます。

ライフスキルを必要としているのは、決して子どもたちだけではありません。

この記事を読んでくださっているあなたにも、そして、いまを懸命に生きるすべての日本人にライフスキルは欠かせないものとなります。

この記事では、このようなライフスキルを獲得することの意味をさらに深く掘り下げながら、より詳しく、より分かりやすく解説をしていきたいと思います。

カテゴリー:自分づくりのプログラム

依存型人間から自立型人間へのアプローチ|ライフスキル教育とは何か
これからの時代は、自ら考え、判断し、行動することができる『主体性』を備えた自立型人間が求められています。 指示がなければ行動することができない、いわれたことしか行わないといった依存型人間から脱することが求められています。 その際...

 

スポンサーリンク

ライフスキルの定義から読み取れること

まず、以下のライフスキルの定義から、この能力が意味するところをもう少し深く考えてみたいと思います。

 

日常生活の中で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力

 

子どもから大人まで、私たちは日々の生活の中で実に多くの問題や課題に遭遇し、それへの対処を求められています。

例えば、学校教育の段階であれば、苦手科目の克服、試験勉強、友だちや教師との関係、進路の決定、受験対策、部活動におけるパフォーマンスの向上等が挙げられるでしょう。

そして、これら一つひとつの課題を避けて通ったり、そこから逃げたりするのではなく、真正面からきちんと対峙し、乗り越えることを促す能力がライフスキルであると理解することができます。

 

ライフスキルのスキルという部分には、それが生まれつき備わった能力ではなく、練習や訓練等を通じて身につけていくことができる能力であるとの意味が込められています。

英会話スキル、パソコンスキル、ビジネススキル、コミュニケーションスキル、コーチングスキル等と、私たちの身の回りには○○スキルという言葉を多く見ることができます。

そこにはすべて、努力すれば身につけることができる能力であるとのメッセージが込められているというわけです。

 

なお、定義の最後に見られる心理社会的能力についてもう少し補足をすると、心理的な能力というのは物事のとらえ方(認知の仕方)や考え方・思考に関する能力です。

社会的な能力というのは、コミュニケーション能力(スキル)に代表される、多様な他者との間に円滑な人間関係を構築する能力となります。

繰り返しになりますが、この両者はそれぞれ密接に関連しあっているので、定義では心理社会的能力としてまとめて表現されていると思ってください。

 

スポンサーリンク

WHOが示す10のライフスキルが意味すること

ライフスキルはWHOが世界各国に提唱する、子どもたちへの教育目標です。

以下に再掲しますが、これらライフスキルの10の能力要素は、ライフスキルという能力や考え方を世界各国の人々に提示するためのモデルのようなものです。

  • 意志決定
  • 問題解決
  • 創造的思考
  • 批判的思考
  • 効果的コミュニケーション
  • 対人関係スキル
  • 自己認識
  • 共感性
  • 情動への対処
  • ストレスへの対処

 

そのため、実際に子どもたちへ提示していくためには、その国の文化や価値観、社会的風習等に合わせて、スキルの詳細の部分をよく検討していく必要があるでしょう。

例えば、ある国では自らの強みや実績を周囲に積極的にアピールすることが望ましいとされていても、わが国では控えめで謙虚であることが美徳とされています。

このことから、WHOによる10のライフスキルに加え、日本人に合ったライフスキルの能力要素を新たに見出し、その獲得を支援していくという展開もあると思います。

 

スポンサーリンク

ライフスキルを身につけることの意味をさらに掘り下げる

WHOによるライフスキルの定義から、この能力が私たちが日々直面する問題や要求を、上手く乗り越えることを促すものであるということがお分かりいただけたかと思います。

次に、このライフスキルを身につけることの意味を、子どもたちにもより分かりやすく伝えていくために、1本の樹木の成長を例に考えてみます。

 

この画像の樹木を、まず、上部、中部、下部という3つの部位に分けてみます。

そうしてみると、人々に最も注目されるのは上部であり、それらは新緑、紅葉であったり、花々であったり、果実であったりすると思います。

それはある意味、この樹木のこれまでの成果であり、成長の証です

そして、その成長を支えているのは中部と下部、すなわち、幹と根っこであるといえます。

そう。ライフスキルを身につけるとは、この幹と根っこを育むことであると考えることができます。本当にそうであるのか、WHOが示すライフスキルの構成要素をもとに少し考えてみましょう。

 

例えば、仕事でも勉強でも、スポーツでも、成果を出すためにはイライラや不安といったストレスに上手く対処していく必要があります(情動・ストレスへの対処)。

また、そこにチームが関係しているのであれば、多様なメンバーと上手くコミュニケーションを取りながら作業を進めていく必要があるでしょう(効果的コミュニケーション、対人関係スキル、共感性)。

成果を出していくためには、多くの課題が対象となり、それらの優先順位等を考えながら決定し、こなしていく必要があるでしょう(意志決定、問題解決)。

さらに、成果が出るということは、自らをコントロールし、行動させていった結果であるともいえます。そのためには、自分自身の性格や特徴、長所や弱点等を正確に把握できていることが望ましいでしょう(自己意識)。

 

このように、ライフスキルを身につけることで、仕事でも勉強でも、スポーツでも、いま現在、懸命に取り組んでいることで成果を出すことにつながると期待されるといえます。

さらにもう2点ほど、樹木にちなんで補足をしたいと思います。

 

一つ目は再現性に関してです。

樹木において幹と根っこがしっかりと育まれていれば、上部の部分は成果を出しつづけることができます。

種類によっては冬を迎える前にすべての葉が落葉してしまいますが、また春になれば新緑とともに生命の息吹を感じられます。それを当たり前のように毎年繰り返していく。

そのような成長しつづけるという人間の姿を実現していく上で、ライフスキルは大きなチカラを私たちに与えてくれているといえるのではないでしょうか。

スポーツにおいても、大会で一度優勝するよりも、優勝しつづけることの方がはるかに困難であるといわれます。

そのような結果を出しつづけることができている人は、やはり人間的に成長しているといえ、そこにはライフスキルを身につけている姿が見られるのではないでしょうか。

 

二つ目は普遍性・汎用性に関してです。

樹木にはさまざまな種類があり、その違いは主に上部に見られます。見方を変えれば、幹と根っこは共通した存在であるということです。

 

確かに、幹と根っこに位置づけられるライフスキルの構成要素を見ると、コミュニケーションスキルをはじめとして、職業や役職、立場、年代、性別などに関係なく、誰にでも当てはまる内容になっています。

現在、本当にやりたいことを目指して転職がブームになっていますが、職が変わるということは、周囲から求められる成果や自らが目指す成果が変わってくることを意味します。

ですが、そこで成果を出す、成果を出しつづけることを支えている幹と根っこ、すなわちライフスキルは何も変らないということです。

また、スポーツを例に話をすると、このライフスキルは心身のコンディションを整え、試合場面において高いパフォーマンスを発揮することに貢献しています。

そして、そのライフスキルは現役中に限らず、引退後の新たなキャリア(セカンドキャリア)の形成においても貢献していくことができる、ということです。

実際に、これらスポーツ選手の現役中と引退後のパフォーマンスとライフスキルとの関係性を支持する結果が、研究データからも得られています。

 

このように、ライフスキルを身につけることの意味は、『日々の生活への適応を促す』ということ以外にも、多岐にわたって見出していくことができます。

ただ一点注意したいのは、ライフスキルはあくまでもスキル・技能としての能力であって、一度身につけたらそれで十分というわけではありません

スキルはそれ自体を使いつづける、磨きつづけるという作業をやめてしまうと、スキルとしてのレベルは徐々に低下していってしまう可能性があります。

例えばコミュニケーションスキルは、日々、多様な人々とコミュニケーションを取りつづけいくことで、スキルとしての働きを維持することができるといえるでしょう。

以上、長々と述べてきましたが、これらはライフスキル教育ライフスキルトレーニングを受けるどもたち、そして、私を含め、ライフスキルの大切さを伝えていく方々にも、是非知っておいていただきたい内容となります。

 

スポンサーリンク

私たち日本人におけるライフスキルのカタチとは

次に、私たちがこの日本社会において日々の生活に適応し、直面する問題や要求に適切に対処し、自らが望む成果を出していく、出しつづけていくために必要なライフスキルについて述べていきたいと思います。

繰り返しになりますが、WHOは人々に提示されるライフスキルの詳細は、その国の文化や価値観、社会的風習等を踏まえて検討されることを推奨しています。

そのため、私たちにフィットするライフスキルの形を検討することには大きな意義があるといえるでしょう。

その上で私たちの研究グループでは、第一線で活躍するアスリートや指導者たちの経験をベースに、私たちにおけるライフスキルの形について検討を行いました。

その理由は、スポーツが象徴的活動の一つであったり社会の縮図としてとらえられていること、スポーツの場で結果を出しつづけていくために求められるライフスキルは、広く私たちにも適用することができるとの考え方からです。

その後、複数回にわたる数百名規模のアンケート調査を通じた科学的な検討の結果、以下に示す10の能力要素を、アスリートをはじめ、私たちに求められるライフスキルとして導き出すことができました。

 

  • 目標を設定するスキル
  • 考える力
  • 最善の努力
  • 失敗の挽回力
  • コミュニケーションスキル
  • 礼儀・マナー
  • 感謝する心
  • 謙虚な心
  • ストレスマネジメントスキル
  • 体調管理スキル

 

特に『礼儀・マナー』や『感謝する心』、『謙虚な心』といった側面には、日本人としてのライフスキルの特徴が表れているといえます。

 

謙虚さを身につけるための方法10選!謙虚な人に見られる特徴も解説
謙虚さと驕り高ぶる姿勢はまさに紙一重です。結果を出しつづけていくため、成長しつづけていくためには、この謙虚さを常に発揮していくことが大切です。 なぜなら、謙虚さが欠けると人は目の前の出来事をいい加減に受け止め、そこに大切なことがあった...

 

また、これらのスキルは互いに独立して機能しているのではなく、互いに関連しあっています。

例えば、目標を設定するスキルを持っている人は、自分に合った適切な目標を設定することができるため、その達成に向けて最善の努力をしようという姿が表出される、という感じです。

このような関連性を踏まえると、一つひとつのスキルに個別にアプローチするのではなく、中核となるスキルに焦点を当てることで、スキル全体を効果的に身につけていくことができると考えられます。

その中核となるスキルは目標を設定するスキルであるといえます。人は達成を強く望む目標が設定されることで、その達成のために必要な多くの課題に高いモチベーションを持って主体的に取り組むことができます。

その過程でさまざまなスキルが練習・訓練され、徐々に身についていくという形になります。そのメッセージはこのサイトのドメイン(goalsetting)にも込められています。

 

目標達成できない理由10選!目標の内容と達成への行動面から詳しく解説
多くの人が苦手意識を抱いていると思われる目標設定。その主な理由は、私たちの誰もが学校で目標設定の方法を十分に学ぶことができていないからといえます。 率直に言って目標設定は技能です。技能であるため、そこには多くのコツと必要な考え方という...

 

スポンサーリンク

ライフスキルと生きる力との関連性

ライフスキルとは何か?を一言で表現すれば、誰もが一度は耳にしたことがある『生きる力』に極めて近い考え方であるということができます。

また、生きる力は文部科学省が、ライフスキルは世界保健機関(WHO)が子どもたちへの教育目標としてそれぞれ提唱しているものです。

このことからも、前者は国内特有の、後者は世界共通の教育目標であるということができるでしょう。

私たちに求められる10のライフスキルを例に、生きる力を構成する主要3要素との関連性をやや主観的になりますが考えてみたいと思います。

 

『確かな学力』に対応するライフスキル

ここには目標を設定するスキルと、考える力がそれぞれ位置づくと考えられます。これらスキルを身につけることで、主体的かつ効果的に学習を進めていくことができると期待されます。

事実、これらのスキルと学力・成績との間には、正の関連性があることが研究データからも示されてます。

 

『豊かな人間性』に対応するライフスキル

ここには最善の努力失敗の挽回力コミュニケーションスキル礼儀・マナー感謝する心謙虚な心がそれぞれ位置づくと考えられるでしょう。

特に感謝する心と謙虚な心については、心の働きがスキル・技能であるか議論の余地があるかもしれません。

ですが、さまざまな経験を通じて後天的に身についたものであり、かつ私たちの社会において効果的に機能する心であるため、ここではライフスキルの側面として解釈されています。

『健康や体力』に対応するライフスキル

ここにはストレスマネジメントスキル体調管理スキルがそれぞれ位置づくと考えられます。

前者のスキルには、周囲の物事をどのようにポジティブにとらえるかという認知的機能と、ストレス反応を他者への相談(自己開示)を通じて軽減しようという機能が含まれます。

後者のスキルは十分な睡眠時間を確保する、栄養バランスの確保された食事を心がけるという行動から構成されています。

 

以上の対応関係をまとめると以下のような内容になります。

【 確かな学力 】

  • 目標を設定するスキル
  • 考える力

豊かな人間性

  • 最善の努力
  • 失敗の挽回力
  • コミュニケーションスキル
  • 礼儀・マナー
  • 感謝する心
  • 謙虚な心

健康や体力

  • ストレスマネジメントスキル
  • 体調管理スキル

 

このようにして見ると、生きる力とは目指す人物像を示す教育上の理念であって、ライフスキルとはそれを具現化する考え方であるといえるでしょう。

それを表すように、学術的な研究が活発に展開されているのは生きる力ではなく、能力としての詳細が具体的に定められているライフスキルであるといえます。

いずれにしても、中核となる目標を設定するスキルを軸に、私たちにおける10のライフスキルを身につけていくことで、『生きる力を育む』という教育目標の達成に近づいていくことができるのではないでしょうか。

 

スポンサーリンク

ライフスキルの獲得を効果的に促す活動(経験)とは

ここでは、私たちの成長を支える幹と根っこであり、そして生きる力であるこのライフスキルの獲得について述べたいと思います。

ライフスキルはその性質からも、さまざまな経験を通して獲得することができると考えられています。

では、いったいどのような経験がライフスキルの獲得を効果的に促すといえるのでしょうか。

その答えの一つとして挙げられるのは、運動部活動等を通して得られるスポーツの経験です。

事実、これまでスポーツ選手(アスリート)とそれ以外の人々とのライフスキルのレベルを比較する研究が数多く実施されてきていますが、一貫して前者のレベルが統計的に有意に高いことが示されてきています。

 

このことから、スポーツの経験にはライフスキルの獲得を効果的に促す要因が存在する可能性が指摘されています。

ただ、スポーツ経験とライフスキル、この両者の因果関係は未だよくわかっていないのが現状で、もともとライフスキルのレベルが高い人がスポーツを実践している可能性もゼロではありません。

スポーツとライフスキルの関係性に興味・関心がある方は、ぜひ以下の関連記事もご覧になってみてくださいね。

 

ライフスキルはスポーツを通してトレーニングすることができる?
ライフスキルとは生きる力に極めて類似した能力として位置づけられるものです。 このブログでは以下に示す10のスキルを私たち日本人におけるライフスキルとしてとらえ、それを身につけていくための視点や方法等について、可能な限り科学的根...
部活動で学んだこと10選!その学びを糧に新たなキャリアを築いていこう
中学・高校、大学を通して経験することができる部活動。その活動からあなたは多くのことを学んできているはずで、それを就活等では最大限にアピールすべきです。 この記事では自己PR用に部活動で学んだことを再確認するとともに、キャリア形成をキー...

 

いずれにしても、人間活動の象徴的存在の一つであるスポーツの中に、ライフスキルの獲得を効果的に促すファクターXを見出そうとする姿勢は、支持されるのではないでしょうか。

 

スポンサーリンク

日常生活スキルとは

最後にライフスキルと密接に関連する内容として、見出しの言葉について解説をしておきたいと思います。

ここでこの言葉を解説しようと思ったのは、おそらく私がこの言葉を世に出した人物であるからです

2006年10月、以下の論文が教育心理学研究という学術誌に掲載されました(私が初めて世に送り出した論文です/画像にリンクあり)。

タイトルを見ると日常生活スキル尺度とあります。これは日本の大学生のライフスキルを評価する尺度の開発に関する論文でした。

尺度で評価できるライフスキルは以下の8つの側面です。1~4が個人的なスキル、5~6が対人的なスキルという位置づけになります。

  1.  計画性
  2.  情報要約力
  3.  自尊心
  4.  前向きな思考
  5.  親和性
  6.  リーダーシップ
  7.  感受性
  8.  対人マナー

つまり、実質的な意味としては日常生活スキル=ライフスキルということになります。ライフスキル尺度と命名しなかった理由は、ライフスキルという非常に広義な概念を、ある1つの尺度のみで評価することができるのかというプレッシャーのためでした。

当時は学生だったため、そのプレッシャーは相当なものだったと思います(私だけでなく、指導教員の先生も!?)。

悩みに悩んだ末、日常生活スキルというライフスキルに近い言葉を尺度につけることでなんとか決着しました。

その後、この論文は現在までに100近い論文の中で引用され、日常生活スキル尺度も多くの研究者・大学院生の方々にご使用いただくことができています。

 

日常生活スキル尺度の開発から15年以上が経過し、いま強く感じているのは、ライフスキルを評価する尺度のバリエーションを増やすという点です。

尺度があることで、自らのライフスキルの特徴を客観的に理解できるとともに、子どもたち等へのライフスキル教育ライフスキルコーチングの効果も厳密に検証していくことができます。

それら新たな尺度の開発に向けて、私自身はしまらぼのゼミ生たちとともに尽力していきたいと思っています!

しまらぼ(ライフスキルコーチング)@法政大学スポーツ健康学研究科
この記事では、大学院生として実際に法政大学大学院スポーツ健康学研究科(多摩キャンパス/東京都町田市)に進学され、その中でしまらぼ(島本ゼミ/ライフスキルコーチング)に所属し、「ライフスキル」を獲得しながら進める自分づくり、さらにその先として...

 

スポンサーリンク

まとめ

21世紀における教育目標である生きる力は、『変化の激しいこれからの社会を生きる力』という文脈の中で語られています。

変化の激しい時代に生きるとは、ある意味、自らが力強く生きていくための指針となる目標を設定しづらい時代に生きているともとらえることができます。

そのように考えると、自分に合った目標を適切に設定できるスキルを特に学校教育の段階から身につけておくことは、変化の激しい社会において、自らが望む未来を自らのチカラで切り拓いていく上でとても大切であるといえます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました