依存型人間から自立型人間へのアプローチ|ライフスキル教育とは何か

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これからの時代は、自ら考え、判断し、行動することができる『主体性』を備えた自立型人間が求められています。

指示がなければ行動することができない、いわれたことしか行わないといった依存型人間から脱することが求められています。

その際に有効と考えられるが『ライフスキル教育』というものです。一体どのような教育なのでしょうか。

簡単にいってしまえば、生きる力や人間力とも表現される、『ライフスキル』の獲得を支援する教育のことです。

この記事ではライフスキル教育とは何かについて述べていきたいと思います。

 

 

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ライフスキル教育とは

 

ライフスキル教育とは何か、結論から先にいってしまえば、個人を依存型人間から自立型人間へとシフトさせるアプローチであるということができると思います。

 

自立型人間とは、簡単にいえば他者に依存しすぎることなく、自分自身でたくましく生きていくことができる人間と表現することができます。依存型人間はその逆となります。

そのような自立型人間に見られる主な特徴を以下に示します。


  1.  自らやりたいことを見出し、その達成のための目標を設定することができる
  2.  目標を達成するために必要な作業を自ら見出していくことができる
  3.  教師や上司から指示を受けなくても自ら取り組んでいくことができる
  4.  自ら問題を発見し、それを適切な形で解決していくことができる
  5.  問題や課題が発生しても、周囲のアドバイスをもとに解決していくことができる
  6.  適切な距離間を保ちながら、周囲と良好な人間関係を構築していくことができる
  7.  多様な他者と上手く協働しながら、結果を出していくことができる
  8.  ストレスを適切に管理し、心身の健康の維持・増進に努めていくことができる
  9.  物事が上手く進まなくても、それを他者や環境のせいにはしない

 

さらに、上記の内容を職業的自立社会的自立、そして、精神的自立という括りで分類をしてみた結果が以下の表となります。

職業的自立 社会的自立 精神的自立
1、2、3、4、5 6、7 8、9

 

特に職業的・社会的自立は、自分らしい生き方の実現を目指すキャリア教育においても重視されている部分であるといえます。

また、上記の自立型人間に見られる一連の特徴に共通しているのは、多様な物事について自分自身で考えるという部分だと思います。

すなわち、依存型人間から自立型人間へとシフトしていくための鍵は、自ら考える力であるといっても過言ではありません。

その自ら考える力をはじめ、自立のために必要なさまざまな能力の強化をライフスキル教育では目指していくことになります。

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ライフスキル教育の実際

 

次に、現在、日本で展開されているライフスキル教育についてみていきたいと思います。

 

子どもたちを対象としたライフスキル教育

 

小学校・中学校年代の子どもたちを対象とした主なライフスキル教育として挙げられるのは、JKYBライフスキル教育研究会によるものです。

この研究会は1988年に発足した研究グループで、JKYBとはJapan Know Your Bodyの略です。生活習慣病の予防を目的とした総合的健康教育プログラム「Know Your Body」の日本版の名称となっています。

また、この研究会の目的は、青少年のライフスキルの形成を支援することで、青少年の健全な発達を促し、喫煙・飲酒・薬物乱用をはじめとする危険行動を防止することとされています。

形成を目指す主なライフスキルとしては、以下の5つの側面が位置づけられています。

  • セルフエスティーム(健全な自尊心)
  • 目標設定スキル
  • 意志決定スキル
  • ストレスマネジメント
  • コミュニケーションスキル

 

喫煙や飲酒、薬物使用等の危険行動に安易に走らないよう、問題や課題への対処能力の向上を支援している形です。

このことから、JKYB研究会によるライフスキル教育は、健康教育としての意味合いが強いといえるのではないでしょうか。

また、問題や課題への対処能力の向上という点でいえば、自立型人間の職業的自立と密接に関連しているともいえそうです。

 

なお、世界保健機関(WHO)による以下のライフスキルの定義は、JKYB研究会の代表を務める川畑徹朗氏(神戸大学名誉教授)が翻訳されたものとされています。

日常生活の中で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力

◆―関連情報―◆ JKYBライフスキル教育研究会

 

運動部を対象としたライフスキル教育

 

ここでのライフスキル教育の目的は主に2つあると思われます。

一つは部員間の暴力事件や飲酒・喫煙等の問題行動の予防であり、もう一つは競技パフォーマンスの向上です。

 

問題行動の予防を目指すライフスキル教育

問題行動自体は一部の学生アスリート等に見られるものですが、テレビや新聞によっても大々的に報道されることもあり、社会におけるスポーツの価値を保持していくためにも、ライフスキル教育の実施は重要な検討課題であるといえるでしょう。

問題行動自体は、競技を通してのストレス(競技ストレス)を不適切な形で発散してしまった形であるとも考えられます。

そのため、ライフスキル教育では主にストレスマネジメントについて学び、精神的自立を目指すことになると思われます。

 

競技パフォーマンスの向上を目指すライフスキル教育

後者のライフスキル教育については、人間的な成長がスポーツ選手としての成長にもつながるといった信念、人間としての成長を重視されている指導者が取り入れるケースとなります。

このケースでは、ライフスキル自体は人間としての成長、人間力を表すものとして提示されることになります。

また、これまでの研究結果からも、ライフスキルを高いレベルで身につけているスポーツ選手は、その後、上位の競技成績を達成する可能性が高いことが示されており、科学的根拠(エビデンス)にもとづいたプログラムであるといえるでしょう。

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【ライフスキル教育の実践事例】放課後の運動部活動内で行われるケース

 

アスリートを対象としたライフスキル教育

 

ここでいうアスリートとは、実業団でプレーするスポーツ選手としての位置づけとなります。ライフスキル教育の目的としては、ライフスキルの獲得を通して職業的な自立を目指すというものになります。

競技引退後のセカンドキャリア支援、または、スポーツキャリアにつづく、新たなキャリアの形成に向けた支援という形になるでしょう。

一方で、これまでのライフスキルに関する研究結果からは、アスリートやスポーツ選手はそれ以外の人に比べ、ライフスキルの獲得レベルが高い傾向にあることが示されています。

すなわち、アスリートを対象としたライフスキル教育では、スポーツ等を通して獲得してきた自らのライフスキルを正確に認識することが重要視されるべきではないかと思われます。

自己の能力への認識を深め、さらに、引退後に取り組んでいきたいことを明確にすることができれば、アスリートの方々はスポーツキャリア以上に、自らのキャリアを発展させていくことができるのではないでしょうか。

 

なお、私たちの研究グループでは、スポーツ庁からの委託事業の中で、さまざまな競技種目のアスリートの方々へライフスキル教育プログラムを展開してきています。

興味・関心のある方は、以下のリンクからの報告書(pp.25~51)を参照してみてください。プログラムを受講したアスリートの生の声(感想)も多数掲載されています。

◆―関連情報―◆
スポーツキャリアサポート戦略:アスリートと企業等とのマッチング支援―スポーツ庁

 

ライフスキル教育における大まかな流れ

 

ここまでさまざまな対象へのライフスキル教育についてみてきましたが、最後に、自立型人間を目指すライフスキル教育としての大まかな流れについて述べたいと思います。

この記事の序盤では、依存型から自立型人間へシフトしていくための鍵は、自ら考える力であると述べました。

そこで、この力の育成と中心に、ライフスキル教育の流れを考えてみます。

 

 

考える力を身につけるためには、やはり自分自身で頭を使い考えてみるという作業を繰り返していく必要があります。

では、どのような時にそのような作業を行うことができるのか、その答えの一つは物事について考える必要性に迫られた時といえます。

例えば、人は目標を設定した後に、それを達成するためにはどうすれば良いか考えるようになるといわれます。すなわち、目標の設定を促す必要性があるということです。

ですが、目標設定をスムーズに行うためには、自分自身に合った適切な目標を設定するスキルを身につける必要があります。

さらに逆算していけば、自分に合った目標を見出していくためには、自分自身はいったい何を望んでいるのかということを理解しておく必要があります。

これらの流れを整理すると、ライフスキル教育自体は以下の順序で展開することが望ましいということができるでしょう。

  1.  自己への理解を深めるプログラム
  2.  目標を設定するスキルを身につけるプログラム
  3.  考える力を身につけるプログラム

 

先に述べましたアスリートを対象としたライフスキル教育では、まさに上記の流れでプログラムは展開されています。

また、上の1~3で構成されるプログラムは、可能であれば単発ではなく、長期的な計画にもとづき継続的に実施されることが望ましいといえます。

 

 

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ライフスキル教育といじめ問題

 

ここで、大人から子ども社会における共通の問題の一つであるいじめについて、ライフスキル教育の視点から私見を述べさせていただきたいと思います。

 

加害者側からいじめを見てみますと、いじめに走ってしまう原因はそこに何らかの快感情が伴っているからと思われます。

具体的には、弱者をいじめることで優越感を得られる、ムカムカ・イライラする気持ちを発散できる等です。

ですが、それらは快の感情を得ることを自分以外の他者に依存しているとも見ることができるのではないでしょうか。

快感情を得られる手段を、自分自身で作り出すことを苦手としているといった形です。

 

一方、ライフスキルを身につけている自立型人間であれば、目標の達成に向けた主体的な取り組みを通して、日々、小さな満足感や達成感を得ることができています。

快感情を得るために他者に依存する必要性はないのです。

さらにいえば、人は目標の達成に向けて懸命に努力する時、悩んでいる人や困っているに対して支援の手を差し伸べようとすることが研究結果から示されています。

 

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チームビルディング|スポーツでの事例【個の行動からのアプローチ】

 

自立型人間は周囲にプラスの影響を及ぼしてくれるといえそうです。

ひょっとしたらライフスキル教育は、いじめ問題の解決にも寄与していくことができるかもしれません。

 

 

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企業から求められる自立型人間

 

少子化に伴う人口減社会を迎え、企業は優秀な人材の確保に迫られています。

優秀な人材とはどのような人材か、その答えの一つとして挙げられるのがライフスキルを身につけた自立型人間ということができます。

 

 

企業側からみた場合、自立型人間は自立型人材自律型人材と呼ばれています。

また、企業側が自立型人材を育成するデメリットとして、育成に手間と費用がかかるという点が挙げられています。

◆―関連記事―◆
自律型人材とは|育成方法やメリット・デメリットを解説―Schoo

 

あなたが大学生の場合、在学中にさまざまな活動を通してライフスキルを十分に身につけておくことは、企業側に対して大きなアピールポイントとすることができるのではないでしょうか。

 

 

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まとめ

 

ライフスキルを分かりやすくいうと、以下の図にあるように、あなた自身の成長を支える幹と根っこの役割を果たしているものといえます。

 

 

そのような意味からも、ライフスキルの獲得を支援するライフスキル教育は依存型人間から自立型人間へのアプローチであるとの説明は、視覚的なイメージの面からも理にかなっているといえるのではないでしょうか。

また、ライフスキルを身につけた自立型人間は、職業的自立、社会的自立、そして、精神的自立を可能とし、企業からも求められる人材であると紹介をしました。

 

生きる力ともいわれるライフスキルは、目標を設定するスキルや自ら考える力、コミュニケーションスキル等と、多様な能力・スキルから構成される広義な概念となります。

そして、そのことはライフスキルとは何か、ライフスキル教育とは何かを、分かりづらくしてしまっている面もあると思います。

今回の記事が、あなたのライフスキル教育に対する疑問に少しでも答えるものとなれば幸いです。

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