ライフスキル教育の実践事例|ジュニア・キッズアスリートに対する事例

教育・スポーツ
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ライフスキル(生きる力/人間力)の獲得を支援するライフスキル教育自体は、青少年の健全育成に貢献するという目的からも、小学生年代を対象として活発に展開されているところがあります。

では、小学生年代であるキッズアスリートを対象としたライフスキル教育(プログラム)は、どのような形で実施されるのが望ましいのでしょうか?

そこで今回は、小学生年代を中心としたジュニア・キッズアスリートへのライフスキル教育の実践事例をご紹介したいと思います。

対象種目は冒頭の画像にもあるように、オリンピックでのメダル獲得が期待されているレスリングです。

この記事を書いた人
しまもと

法政大学スポーツ健康学部准教授 / 専門は自分づくりを支援するライフスキルコーチング / 20年以上、自分づくりのプログラムと研究に没頭する変わり者 / 石川県七尾市の鵬(おおとり)学園高校普通科にて2024年度から始まった自分づくり(ライフスキル)の授業の取りまとめを行う

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ライフスキル教育の概要

ここでご紹介をするライフスキル教育は、静岡県レスリング協会が主催する『育成キャンプ』の中で実施された1つのプログラムという位置づけになります(実際の実施時期はコロナ禍以前)。

キャンプの目的は、競技レベルの向上と子どもたちの健全育成にスポーツを通して寄与していくというところです。

そのような目的を踏まえ、ライフスキル教育自体は中核的なライフスキルである『目標を設定するスキル』の獲得に焦点を当てて展開されました。

レスリングがより楽しいと感じられるためにも、技能の向上につながる目標を子どもたち自身が適切に設定できるようになることは非常に大切であると思われます。

また、他の年代のライフスキル教育と同様に、プログラムでは1グループ5~6人の構成のもとグループワークが展開されました。

それではまず、そのグループワークの前に実施されたアイスブレイクの様子について述べていきたいと思います。

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ジュニア・キッズアスリートへのアイスブレイク

アイスブレイクの題材として選ばれたのはマシュマロチャレンジというアクティビティです。

簡単にいえば、チームのメンバーと協力して制限時間内に以下の材料を用いて自立するタワーを作ります。その上に1つのマシュマロを設置し、そのマシュマロまでの高さを競うというものです。


参考:日本マシュマロチャレンジ協会

  • 乾燥パスタ 20本(1.7mm推奨)
  • マスキングテープ 90cm
  • マシュマロ 1個
  • はさみ 1つ

◆―関連情報―◆
マシュマロチャレンジのやり方―日本マシュマロチャレンジ協会

 

このマシュマロチャレンジはチームビルディングの一環としても実施可能なもので、共通の目標の達成に向けてチームワークを発揮することの重要性と、そのためのメンバー個々のあり方についても体験的に学ぶことができます。

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ここで、マシュマロチャレンジから得られる複数の教訓について以下に記しておきたいと思います。

 

チャレンジからの教訓1 : 考えすぎてチャレンジする回数が少ない

多くの場合、マシュマロを支えるタワーの設計の検討に、制限時間の多くを費やしてしまうことになります。

 

そのため、終盤になってようやくマシュマロを設置してみますが、その重さに耐えられずにタワーが崩壊してしまうという結果が見られます。

ここからの教訓は、目標の達成に向けていろいろと悩むことも必要ですが、実際にチャレンジしてみてはじめて分かることもあるということです。

そうすることで、優先的に検討すべき事項が見えてきますし、失敗を繰り返しながら、徐々にうまくいく方法を見つけていくことの大切さを教えてくれています。

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チャレンジからの教訓2 : 本来の目的を忘れてしまう

マシュマロチャレンジの目的は、1つのマシュマロを可能な限り高い位置に設置するというものです。

ですが、多くのグループで、高いタワーを組み立てることに意識が向いていってしまいます。

 

繰り返しになりますが、制限時間の終盤になってようやくマシュマロを設置しようとしますが、予想以上に重いため、せっかくのタワーが崩れてしまうというパターンが多く見られます。

ここからの教訓は、目的と目標はその都度確認をする必要があるということです。正しい努力を継続していくためには、自分が進むべき方向(目的や目標)を常に確認することが求められます。

私たちはどうしても目の前の作業に集中してしまいがちですが、それは足元のみを見ながら歩みを進めているのと同じで、その時、進行方向がズレてしまっていても気づくのが遅くなってしまいます。

 

チャレンジからの教訓3 : メンバー内の協力が不可欠

当然ながら、マシュマロチャレンジを一人で行うことは不可能です。

また、仮に複数人で取り組んだとしても、その一人ひとりがバラバラに動いていては、とても制限時間内に作業を完了させることはできないでしょう。

当日、うまくマシュマロを設置することができていたグループは、個々のメンバーが自らの役割をきちんと認識し、機能的に行動することができていました。

また、メンバー全員が完成を目指すタワーのイメージを共有できていたように思います。

ここからの教訓は、ある共通の目標を確実に達成するためには、メンバー全員がコミュニケーションを取りながら、その目標を正確に共有できていること、そして、その達成に向けて役割分担がきちんとできている必要があるということになります。

このような形はチーム種目に限らず、レスリング等の個人種目において当てはまると思われます。選手やコーチ、各種スタッフからは、まさにチームが構成されているといえるからです。

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チャレンジからの教訓4 : 制限時間を意識する必要がある

目標が目標といわれる所以は、そこに期限があるからです。期限のない目標は『』と同じ位置づけになってきます。

マシュマロチャレンジにおいても、作戦タイムを含めて18分間という明確な期限(制限時時間)が設定されています。

目標を確実に達成するためには、いつまでにどのような作業を完了させるのかといった段階的な目標も立てたり、その達成状況を随時確認し、作業スピードをコントロールしていく必要があります。

また、そのような確認作業と状況把握は、メンバー全員が行うことが望ましいと思われます。

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マシュマロチャレンジはアイスブレイクの域を超える

実際のところ、子どもたちはマシュマロチャレンジを通して楽しみながら交流を深めていくことができます。

 

制限時間が設定されていたり、タワーはきちんとマシュマロを支えつづけることができるのか等、ドキドキ・ハラハラできる要素が複数含まれているといえます。

また、マシュマロチャレンジからは目標設定に関する複数の教訓を体験的に学ぶことができるため、目標を設定するスキルの獲得を目指すプログラムと相性の良いアイスブレイクであるといえます。

プログラムとの関連性でいえば、上で述べた4つの教訓はマシュマロチャレンジ後すぐに子どもたちに伝えるのではなく、次のセッションの目標設定の話の中で順次伝えていく形となります。

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目標設定の原理・原則

繰り返しますが、目標を設定するスキルはライフスキルの中核をなすもので、そのスキルの獲得を中心としてライフスキル教育が構成されるといっても過言ではありません。

また、現在取り組んでいる競技をもっと好きになるためにも、競技力の向上につながる目標を子どもたち自身が適切に設定できるようになることは、とても大切なことであると思われます。

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今回のケースでは、小学生低学年が多数含まれていたため、分かりやすい説明をより意識した形となります。

具体的には、『オリンピックに出場する』、『オリンピックで金メダルを取る』等の目標を設定するとは、ある山の頂に到達することと同じイメージであること。

確実に山頂に到達するためには、自分に合ったルートを選択する、すなわち、そこに至るための計画を作成する作業(プランニング)が必要であること。

さらに、その計画を作成する段階では、いくつかの重要なポイント(目標設定の原理・原則)があることを伝えていきました。

その重要なポイントを紹介する際に、アイスブレイクで実施したマシュマロチャレンジから体験的に得られた教訓を当てはめて述べていく形となります。

そうすることで、より説得力を持った形で子どもたちに目標設定の原理・原則の部分を伝えていくことが可能になると思われます。

例えば、マシュマロチャレンジに制限時間があったように、いついつまでにその目標の達成を目指すといった『期限』を目標には設ける必要があるということです。

また、目標を達成に向けたプランニングの部分においてグループワークを実施してもらいました。

 

計画を作成するためには、例えば、オリンピック出場にいたるまでには、どのような大会がどのようなタイミングで開催されているのか等の知識が必要となります。

また、同じ年代の子どもたちがどのような計画を作成しているのか、どのような考えを持っているかの情報も大いに刺激になると思われます。

グループワークでは、そのあたりの情報交換をメインに行ってもらいました。

目標を設定するスキルに加え、子どもたちの考える力を伸ばしていくためには、多様な考え・アイディアに触れることで、自身の考え方の幅を広げていく必要があるともいえます。

物事を自ら考える力は、依存型から自立型人間へとシフトしていく上で、非常に重要な能力であると思います。

そのような人生において大切な能力を効果的にトレーニングしていく上で、スポーツは非常に適した環境を子どもたちに与えてくれるといえるのではないでしょうか。

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保護者にも向けたライフスキル教育のプログラム

これは特にキッズアスリートのケースにいえることと思いますが、プログラムの会場には保護者の方々も同席しています

講師は子どもたちに向けて目標設定の話を伝えていきますが、子どもたちへの影響力が大きい保護者に向けても、その話は意識的に発信するべきではないかと考えています。

なぜなら、保護者の方々も含めて子どもにとっての一つのチームを形成しているといえるからです。チームの一員であるということは、今回のケースであれば、目標設定の話は子どもたちとともに共有していただいた方が良いのでは思われます。

講師は目線を子どもたちに限らず、保護者にも向けて力強く語りかけることで、その内容を両者に届けていくことができるかもしれません。

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まとめ

私たちの研究グループでは、目標を設定するスキルの獲得と自己理解を深めるプログラムをセットにしてライフスキル教育を展開しています。

ですが、今回の小学生を中心としたケースでは、プログラムの分かりやすさを重視し、目標設定に特化した展開となってます。

その分、目標設定と関連が深いアイスブレイク(マシュマロチャレンジ)を導入したことで、確実に目標を達成するためのポイントを理解することができたのではないでしょうか。

さらに、キッズアスリートを対象としたプログラムでは、子どもたちに加え、その保護者の方々への情報発信も意識すべき点について述べました。

保護者の方々がライフスキルを獲得されることのプラスの影響は、必ず、その子どもたちにも波及していくはずです。

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