考える力を簡単に表現すれば、あなたの日々のコミュニケーションを円滑にするための力ということできます。
もちろん、コミュニケーション能力も大切ですが、考える力と合わせて発揮されることで、より望ましい結果を得ていくことができるはずです。
この記事では考える力とコミュニケーションとの関係に加え、その考える力をいかに発揮し、鍛えていけばよいかについてわかりやすく解説していきたいと思います。
考える力とコミュニケーションとの関係
他者とのコミュニケーションを円滑にする上で、コミュニケーション能力は非常に大切です。ただ、その能力を発揮する前段階には「判断する」というプロセスが見られます。
その判断をその都度適切なものにしていく上で、考える力は重要な役割を果たしています。
つまり、その判断を誤ってしまうと、いくらコミュニケーション能力があったとしても、結果として他者との関係がぎこちないものになってしまうということです。
具体的には、以下の4つの事例を確認してみてください。
その1 : 謝る
「謝る」はコミュニケーション能力(スキル)の1つとされていますが、確かに、謝罪を通して早期に事態を収めることができる人とそうでない人が見られます。
前者の人は、以下のようなことを考えた上で謝罪をしているのではないでしょうか。
- 本当にこちら側に否があるのか
- 相手側の怒りはどの程度か
- 相手側はいったい何に怒っているのか など
事態を早期に収める目的で何も考えずにただ謝罪したのでは、『原因をきちんと理解していない!』と逆に火に油を注ぐ結果になってしまいそうですね。
その2 : グループに参加する
学校・大学であれば部活動やサークル活動で、社会人であれば○○クラブ等というように、社会にはさまざまなグループ・団体が存在します。
そして、あなたが何かのグループに参加するか否かを迷っているとき、以下のように考える力が発揮されているはずです。
- グループの活動方針は自分に合っているか
- グループのメンバーと自分との相性はどうか
- 活動費の家計への負担は許容できる範囲か
- グループの活動レベルは自分に合っているか など
このような考えるプロセスを経ることによって、後悔の少ない納得のいく判断ができることになります。
その3 : 助けを求める
勉強でも仕事でも人間関係でも、一人で対応することが難しいときは、誰に手伝ってもらったり、助けてもらったりしたいですよね。そんなとき、あなたらどうしますか?
慎重な人なら、以下のような様子が見られるのではないでしょうか。
- 誰に相談するのが一番効果的かな
- ○○さんは信頼できる人かな
- いまきちんと話を聴いてくれるかな など
助けを求める前にこのような考えるプロセスを挟むことによって、自らが望む形でスムーズに援助を受けることができると思います。
その4 : 指示を与える
もしあなたが何か人に指示を与える立場にあるなら、その指示内容が適切に相手に伝わるよう次のことを考えたりしませんか?
- 相手はいま、落ち着いて話を聴けそうな状況か
- 相手はこの指示内容に問題なく対応できそうか
- どの程度の要求(指示)までなら受け入れてくれそうか など
重要な指示であればあるほど、事前に上記の点をしっかりと確認することでこちら側の要望を確実に伝えていくことができると思います。
考える力がコミュニケーションに果たす役割
考える力というと、論理的思考や批判的思考、創造的思考といった言葉が浮かび、日常のコミュニケーションとはあまり関係のないように思われますが、実はかなり密接に関係しています。
どこで関係しているかといば、4つの事例で説明したとおり、相手とのコミュニケーションにおける一連の判断において発揮されているといえます。
例えば、「○○さんに助けを求める/求めない」の判断を行う場合、助けを求めた場合のメリットとデメリットをそれぞれ考え(想像し)、「メリット > デメリット」であれば助けを求める、「メリット < デメリット」であれば求めないといった流れですね。
そのような細かな判断や意思決定の機会が、多様な他者とのコミュニケーションの中には非常に多く存在します。そして、その個々の判断を可能な限り適切な形で行うことによって、円滑な人間関係は実現していくといえます。
もちろん、考えるというプロセスなしに気軽にコミュニケーションを取っていくことも可能ですが、慎重に考えるプロセスを挟むことで、人とのトラブルを未然に防いでいけるというメリットがあります。
なお、4つの事例で紹介した「謝る」「グループに参加する」「助けを求める」「指示を与える」は、いずれも高度なコミュニケーションスキルに位置づけられています。
これらが高度なスキルに分類される理由の1つは、相手側とのやり取りにおいて適切な判断がより多く求められるからではないでしょうか。
もちろん、考える力は高度なコミュニケーションにおいてのみ必要とされるわけではなく、その他、多様なやり取りにおいても発揮していくことができます。
例えば以下のような感じです。矢印の左側がコミュニケーションのカタチ、右側が考えるプロセスです。
自己紹介をする ⇒ 自己紹介の長さ(情報量)はどのくらいがいいかな
会話をはじめる ⇒ いま話しかけても大丈夫そうかな
会話をつづける ⇒ まだ話をしていて大丈夫そうかな
他人を紹介する ⇒ ○○の情報はみんなには伏せておいた方がいいかな
実際、コミュニケーションの最中は考える時間を長く確保することは難しそうですが、そこを少しでも考えようとすることで、以下のような相手を気遣う言葉も出てくるようになると思います。
- いま少しお時間いいですか?
- まだ時間の方は大丈夫ですか?
これらは本当にちょっとした一言ですが、円滑な人間関係を強力に促す効果があるのではと思います。
◆ カテゴリー:コミュニケーション

適切な判断を可能とする考える力をいかに鍛えるか
この記事で言及している考える力とはすなわち、判断力に近いものといえます。
想定される複数の選択肢の中から、その状況下において最も望ましいと思われる選択をしていくことができる能力ということですね。
このような考える力を鍛えていくためには、日頃からさまざまな物事の賛否両論に触れながら、そこからもたらされるメリット・デメリットを想像できるようにしていく必要があります。
また、日々の生活場面での個々の判断を、なるべく自分自身で行っていく必要もあるでしょう。
もっと大きなところでは、進学先や就活、転職等の人生における節目節目での決定を、それぞれの選択肢から予想されるメリット・デメリットを慎重に比較検討した上で、自分が納得できる判断をしていくという経験が必要になります。
そして、そのような大小さまざまな判断・決断の積み重ねが、いまのあなたをカタチづくっているといっても過言ではありません。
私も大学生の頃、学生生活全体が上手く回らず、このまま一人では対応不可と判断し大学の学生相談室に助けを求めました。そこで対応してくれた先生が、その後の自分の恩師になるとも知らず。。
人生はどこでどのように進んでいくか予測が難しいですが、その時々で最善と思われる判断をきちんと行っていけば、それほど悪い方向には向かわないのではと思います!
熟考の伴わない判断の連続は望まない未来を招く
人によっては、その時々の判断は適当・いい加減でもOKとする場合もあるのではないでしょうか。確かに、単発であればそれほど大きな問題にはならないかもしれません。
ですが、熟考が伴わない判断、親や人任せの判断、なんとなくみんなと同じ判断等を繰り返していくと、気が付いた時には自分自身が望まない状況になってしまっている可能性があります。
望まない学校や大学、望まない働き方、望まない社会ということにならないように、まずは目の前の小さな判断からでもいいので、少し慎重に考えてみませんか。
これから時代における必須のヒューマンスキルといわれる考える力は、日々のコミュニケーションを良好にするため、また、あなたが望む未来を実現するために欠かせないものだと思います。
まとめ
考える力を論理的、批判的、創造的思考と表現すると、何か特別な能力のように感じられますが、実は日々の生活全般の中で求められるとても身近な能力です。
その筆頭が多様な他者とのコミュニケーションの場面だと思います。円滑な人間関係を実現していくためには、コミュニケーション能力だけでは不十分で考える力も必要です。
『コミュニケーションが苦手』という悩みの根底には、「考える力が未だ十分にトレーニングされていない」「思考停止している」等の問題も関係しているのではと思いますね。
◆ カテゴリー:思考

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