人は自分に課しているハードルが高ければ高いほど頑張ろうとします。それによる成果もありますが、当然弊害もあります。『本当は下げたいけれど、なかなか下げられない…』が実情ではないでしょうか。
そこでこの記事では、あなたの下げたい気持ちを後押しするために、ハードルを下げることで手に入るものについて述べていきたいと思います。
日本人のハードルは総じて高い!?
ストレスマネジメントの文脈では、日本人には完璧主義の傾向の人が多いといわれています。完璧主義とは、簡単にいえばテストで100点を目指そうとする考え方です。
80点でも90点でもなく、100点満点が目標です。99点でもダメなんですね。これってかなりハードルが高いと思いませんか?
当然、このような完璧を目指そうとする姿勢は日々の仕事場面にも反映されていきます。仕事の質は高まりますが、それによる身体へのダメージもありそうです。
また、この完璧主義のやっかいなところは、自分以外にも完璧を求めようとしてしまうところです。自分にも他者にも厳しい、そんな人が多いとこの日本は息苦しい社会になってしまいそうです。
◆ カテゴリー:ストレス
日本人のハードルを高めている要因
生まれつきの性格をはじめ、多様な要因が考えられる中で、私自身は受験勉強も完璧主義の強化に一役買っているのではないかと考えています。
大学受験ではたった1点の差で合格・不合格が決まってしまうので受験生は必死です。少しでも高得点を取るために、短期間のうちに一生分の勉強をするような詰め込みようです。
そのような熾烈な競争を強いる環境は、良くも悪くも、生徒たちを完璧主義へと導いている可能性があるのではないしょうか。
◆ カテゴリー:思考
ハードルを下げることで手に入るもの
結論を先に言えば、ハードルを下げることは後退ではなくむしろ前進をあなたにもたらします。詳しくは、次からの内容を確認してみてください。
その1: 人への優しさ
自分に厳しい人は周囲の人に対しても厳しくなってしまいます。自分に課しているハードルの高さを、無意識的に人に対しても求めてしまうという構図です。
つまり、自らのハードルが下がれば、他人に対しても同様のことが起こり、以前よりも寛容的に人に接することができるというわけです。
あなたの人への優しさは、不思議と自分への優しさとして返ってくると思います。
その2: アンガーマネジメント
怒りの原因を端的にいえば、あなたが抱く理想と現実とのギャップです。そのギャップが大きいほど、怒りの感情は爆発します。
もうお分かりですよね。ハードルが下がれば、それだけ他人の言動からギャップを感じる程度は少なくなり、怒りを感じることも少なることが期待されます。アンガーマネジメントの一環です。
また、教職を目指す学生に対しては、『子どもたちにあまり期待し過ぎないこと』とアドバイスされることがあります。これは理想と現実とのギャップを少なくするためでしょう。
子どもたちに期待する以前に、いい意味で自分に期待し過ぎない(ハードルを高め過ぎない)ことも必要そうですね。
その3: 自分を受け入れる気持ち
より正確にいえば、『自分はダメだ』という自己否定が減り、結果としていまのありのままの自分を認め、受け入れられるようになっていくという流れです。
ハードルが下がれば理想と現実とのギャップも小さくなり、そのギャップを埋められていない自分への評価も、そこまで厳しくはなりません。
自己受容が得られれば、気持ちの浮き沈みも少なくなり、毎日頑張っている自分を肯定的に見ることができます。それは文字通り、自己肯定感の獲得にもつながっていくはずです。
その4: 心身の健康
人はハードルが高ければ高いほど、それを乗り越えるために必死に頑張ります。ですが、頑張り過ぎも禁物です。身体は資本ですが、きちんと(体調)管理されることで、その資本としての力をいかんなく発揮できます。
ハードルが高いままだと、休むことへの抵抗感であったり、罪悪感が生まれてくる可能性があります。結果として体調を崩してしまうと、不甲斐ない自分にさらにダメ出しをするといった、目も当てられな状況になってしまいます。
ですが、ハードルを下げることでこのような悪循環から脱していけます。「疲れたら休む」、そんな当たり前のことが普通にできるようになります。
また、心身相関の考え方からも、身体が健康的であればその良い影響はこころにもつながっていくはずです。
◆ カテゴリー:ストレス
その5: モチベーションアップ
目標を設定することによる主な心理的効果にモチベーションアップが挙げられます。ですが、そのアップの程度は目標(課題)の難易度によって変わります。
難易度(ハードル)が高すぎると、モチベーションは上がるどころか一気に急降下してしまうので、ハードルが高い人は、心理的にも厳しい状況下で作業をしている可能性があるということです。
ですが、ハードルが徐々に下げられ、目標を達成できる・できないの確率が感覚的に50%近くになってくると、逆にモチベーションは一気に高まってきます。『絶対に達成したい!』という心境になるわけですね。
このようなモチベーションの面からも、ハードルを下げることは後退ではなく、むしろ前進であることがわかります。
その6: 成長を促す達成感・満足感
あなたはどんな時に達成感や満足感を感じますか?何か大きなことを成し遂げたときですか?仮にそうだとしたら、達成感や満足感を得るためにかなりの時間を要すことになります。
そうなると、それまでに気力も体力もすっかり使い果たしてしまし、結果として目標を達成できない可能性が高まります。
では、その何か大きなことを切りのいいところで細かく細かく分解し、それらを小さな目標としてはどうでしょうか。
そして、その個々の目標がクリアできたごとに、達成感や満足感を感じるようにしていきます。その時、『こんなことじゃ満足してはいけない』なんて思う必要はありません。
たくさん満足できるポイントを作っていきましょう。あのイチロー元選手も、以下のようにコメントしていますよ。
満足できるポイントがないと途方にくれてしまいますから。満足できるポイントは絶対に必要だと思っています。
たとえ、小さな達成感や満足感であっても十分に意味はあります。それらが得られれば、あなたの心は『もっと達成したい!』『もっと満足したい!』と強く動機づけられていくからです。
その流れに乗ることができれば、あなたの目標達成へのスピードは劇的にアップするはずです。ハードルを下げることで、「一気に加速する」といったイメージですね!
まとめ
最後に改めて、ハードルを下げることで手に入るものを一覧で示します。
- 人への優しさ
- アンガーマネジメント
- 自分を受け入れる気持ち
- 心身の健康
- モチベーションアップ
- 成長を促す達成感・満足感
自らに課しているハードルを下げるために一番意識したいことは、あなたをはじめ、日本のみなさんは既に相当頑張っているということです。
でも、周りが完璧主義に近い人ばかりだとなかなか気づきにくいです。外国から日本のことを見てみるとよくわかるかもしれません。
ヨーロッパの主要国に数年滞在された先生がこんなことをおっしゃっていました。
あの人たちに比べると、日本人は3倍勤勉に働いてますよ!
果たして真相はいかに!?
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