あなたにとって、ストレスフリーで快適に生活できる空間や環境、安全地帯とはどのようなものですか?それはコンフォートゾーンと呼ばれ、ウィキペディアでは以下のように説明されています。
「快適な空間」を意味する語である。心理学などでは、ストレスや不安が無く、限りなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指す。
◆関連情報◆ コンフォートゾーン――Wikipedia
このようなコンフォートゾーンは、事前にあなたに用意されたものではなく、あなた自身の行動によって徐々に形成されてきたものです。
そんな自らのコンフォートゾーンを認識することで、これまでの成長の軌跡を知るとともに、その先のさらなる成長を促していくことができます。
最近どこか停滞感がある、生活がマンネリ化している等と感じている方は、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
コンフォートゾーンとは
繰り返しになりますが、コンフォートゾーンとはストレスや不安を感じることなく、快適に過ごすことができる空間や環境のことです。
一般に、私たちの日々の生活には、以下のようにコンフォートゾーンを含めて3つのゾーンが存在するといわれます。
順に説明をすると、中央に位置するのがコンフォートゾーンで、無理なく日々快適に過ごすことができる空間・環境です。
その一つ外側に広がるのが「ラーニングゾーン」と呼ばれる空間・環境で、コンフォートゾーンに比べると、わからないことが多くなる領域です。
ラーニングゾーンでは、これまでの知識や経験をもとに汗をかいてその空間・環境に適応しようとする姿が見られます。
そして、最も外側に位置しているのが「パニックゾーン」といわれる空間・環境で、そこでは何が起こっているのか全く分からないほどの危険な領域です。
例えば、外国語がほとんど話せない状態で、文化も風習も異なる異国の地に放り込まれるようなイメージです。非常に強いストレスを感じ、精神的に不安定になってしまうおそれがある領域です。
私自身のケースでいうと、小学3年生になるタイミングで標準語が話される都市部から方言の強い地方へと家族で引っ越しをした経験があります。
子どもにとってはかなり大きな環境の変化で、大袈裟かもしれませんがパニックゾーンに近い感覚があった記憶があります(笑)。
ちなみに、パニックゾーンに足を踏み入れるメリットはあまりありません。精神的なダメージが大きくなってしまうので、早期に撤退することが賢明ですね。
ここで紹介をした3つのゾーンは誰にでも共通してみられるものですが、具体的にどんな空間・環境がそれぞれのゾーンであるかは個々人で差が見られます。
コンフォートゾーンの例
例えば、学校で友だちとワイワイと過ごす空間であったり、バイト先で同僚と楽しく働く空間であったりします。
慣れた仕事を淡々とこなしている時も、コンフォートゾーンにある状態といえますね。
もう一つ例を挙げれば、車の運転におけるコンフォートゾーンとは、ストレスなくスムーズに走り回れる範囲ということができると思います。
また、家族と一緒に過ごす空間である自宅やマイホームは、多くの人にとって共通のコンフォートゾーンであるといえそうですね。
コンフォートゾーンの形成過程
次に、このコンフォートゾーンが形成される過程について述べていきます。
多くの人にとって、最初のコンフォートゾーンはお母さんのお腹の中であったと思います。
出産後も、しばらくは大好きなお母さんのすぐそばがコンフォートゾーンです。
そして、保育園または幼稚園に入り、小学校、中学校、高校、そして、大学へと活動の範囲は徐々に広がるとともに、コンフォートゾーンも広がっていきます。
活動の範囲がある程度広がった直後はそれらはラーニングゾーンですが、そこに適応することでコンフォートゾーンが徐々に広がっていくという流れです。
つまり、私たちは現状の一つ上のラーニングゾーンに適応するという課題を段階的に与えられ、それに対応しつづけることで、現在のコンフォートゾーンを形成してきたということができます。
あなたのコンフォートゾーンは生まれつき与えられたのではなく、あなたが果敢に行動し、新しい空間・環境に適応してきた成長の証でもありますね。
よくある例でいうと、初めて幼稚園に通い始める小さい子どもは、お母さんから引き離されると分かると、ワーワーと泣きじゃくり、それに必死で抵抗しようとします。
ですが、何とか現状を受け入れ、一人での環境に自らを適応させようとすることで、幼稚園というラーニングゾーンをコンフォートゾーンへと変えていくことができます。
そのような環境の変化への対応を繰り返しながら、私たちは現在のコンフォートゾーンを形成してきました。
ただ、コンフォートゾーンに居つづけることのデメリットもあります。それは現状維持を選択することにもなり、次なる成長を実現することは難しくなってしまうということです。
厳しい見方をすれば、「現状維持は衰退」を意味しています。例えば、あなたが普段使うスマホやPC、さまざまなアプリは、絶えずアップデートを繰り返しています。
現状維持のままでは、その機能を発揮しつづけていくことは難しくなり、やがてその役目を終えなくてはなりません。
コンフォートゾーンを抜け出すコツ
といっても、人は本能的にコンフォートゾーンでの現状維持を選択してしまう傾向にあります。それはあなたの脳が変化を嫌うからです。
ではなぜ、これまでラーニングゾーンでの学習を継続することができたのか?それは、そのような学習の機会や環境を外部から与えられ、それに一人ではなくみんなで一緒に取り組んできたからです。
ですが、晴れて社会人になった人は、そのような学習の機会や環境は自ら作り出していく必要があります。
私たちは小さい頃から学習の機会や環境を与えられることにすっかり慣れてしまっているので、その意識の部分を変えていく必要があります。
では、どうすればコンフォートゾーンを自ら抜け出すことができるのか?その答えはこれまでの成長の軌跡によく表れています。
すなわち、コンフォートゾーンからいきなり大きく抜け出そうとするのではなく、あくまでも少しだけ抜け出すようにするということです。
一度に大幅に抜け出そうとすると、当然、それに対する不安や恐怖、抵抗が生じ、なかなか行動に移すことが難しくなります。
別の言い方をすれば、環境を大きく変えようとすると、現状に引き戻そうとする強烈な抵抗にあってしまうということです。「三日坊主」はまさにその典型ですね。
言い方を変えれば、それだけ多くの人が現状を一度に大きく変えようとしてしまっています。
話を元に戻すと、コンフォートゾーンから少しだけ抜け出すとは、目標設定の観点からいえば、現状の一つ上の目標、または現状の1割増しの目標を設定するということです。
もちろん、現状の2割増し、3割増しの目標設定も可能ですが、1割増しの時に比べると、『ちょっと無理かも…』『難しそう…』といったマイナスの感情が出始め、パフォーマンスの発揮に負の影響を及ぼしてしまいます。
最適なモチベーションを維持するためにも、現状の1割増しの目標設定が理にかなっています。
慌てず焦らず、マイペースにしっかりと年数をかけながら活動の幅と水準を高めていくようにすることが、コンフォートゾーンを確実に抜け出すコツです。これはまさに、一歩一歩無理なく山頂を目指す山登りそのものですね。
一歩一歩、高みを目指していくことで、見える景色も徐々に変わってきます。もしかしたら、もっと素晴らしい場所があなたの近くにあるかもしれません。
そのような興味・関心を引く新たな情報は、あなたを再びラーニングゾーンへと誘うものになるはずです!
◆ カテゴリー:目標設定
コンフォートゾーンを抜け出す意味
快適に過ごすことができるコンフォートゾーンに留まりつづけることも、日々を穏やかに、健康的に過ごす上では大切なことであると思います。
一方で、より長期的に私たちの生活を眺めてみると、「人生100年時代」といわれるように、これからは非常に長いスパンで、自分のキャリアや人生を自らデザインしていく必要があります。
後悔のない形で、自分が心から望むキャリアや人生を実現していくためには、やはり現状維持のままでは難しいはずです。
また、自分が望むキャリアや人生を実現するためのものとして、社会人一人ひとりには「社会人基礎力」という能力の獲得が行政側から推奨されています。
今後、転職や起業を考えたりと、働き方をアップグレードするタイミングでは、ほぼ間違いなくコンフォートゾーンを抜け出す必要があります。
その時にスムーズに行動に移すことができるよう、いまの段階からコンフォートゾーンを抜け出すコツ(方法)を習得しておくことには大きな意味があるといえそうですね。
◆ カテゴリー:多様な能力・視点
ラーニングゾーンでの活動を継続するために必要なもの
最後に、ラーニングゾーンでの学びを継続するために必要なものについて述べたいと思います。ここでは5つのことに言及していきます。
必要なもの1 : ラーニングゾーンとパニックゾーンの境界線への認識
ラーニングゾーンからパニックゾーンへの進入は、多くのエネルギーを消耗し、ラーニングゾーンでの活動に支障をきたしてしまうおそれがあります。
うかつにパニックゾーンに入ってしまわないためには、この2つの領域の境界線を正しく認識できている必要がありますね。
そのためには、自分にとってのラーニングゾーンとパニックゾーンをそれぞれ把握しておく必要があり、そのことは最終的には、自己の現在の能力レベルを正しく認識する必要があるに言い換えることができます。
能力を数値化できる学力が最もわかりやすい例ですね。自己の能力を正しく認識することで、自分にとっての最適な学びの場を見出すことができます。
必要なもの2 : 失敗を恐れない気持ち
ラーニングゾーンでの活動は未だ慣れないことの連続であるため、時には失敗をしたり、物事が上手く進まないことも多々あるでしょう。
この領域での学びを有意義なものとするためには、失敗を恐れる気持ちを上手くコントロールしていく必要があります。
その際、有効な手立ての一つとして考えられるのが「リフレーミング」という技法です。
リフレーミング自体は、簡単にいえば種々の物事をこれまでとは異なる見方でとらえていくというものです。
例えば、何か上手くできなかった事象を失敗と決めつけているのは自分自身で、以下のようなとらえ方をすれば、ポジティブなものとして見ていくことができます。
失敗を数多く経験することで、真の成功を手に入れることができる
このような技能を身につけることで、失敗を恐れる気持ちを適切に処理していくことができます。
上で紹介したリフレーミングに興味・関心がある方は、ぜひ以下の「関連記事」を参考にしてみてください。全11ケース(例:失敗を恐れたとき)からリフレーミングの実践例を多数紹介しています。
必要なもの3 : 動機づけを喚起しつづける目標設定
ラーニングゾーンでの活動には一定以上の負荷がかかります。そんな環境下で活動しつづけていくためには、それなりの動機づけ・やる気が必要です。
そして、その動機づけを生み出すものの代表格が「目標設定」です。ですが、ここで注意が必要なのはどのような目標設定でも良いというわけではないという点です。
確かにどんな目標であれ、それらは一時的に動機づけを高めることはできます。ですが、急激に高まったやる気は、時間の経過とともに必ず低下していってしまいます。
ラーニングゾーンでの学びを長期にわたり継続していくためには、高すぎず低すぎない、一定水準の動機づけを維持していくことが必要です。
そのような最適な動機づけを喚起する目標は、いくつかのコツを押さえることによって設定できます。つまり、目標設定は技能であるということです。
ですが残念なことに、私たちは目標設定の技能に関する情報を学校教育の中で十分に学ぶことができていません。
先生から目標を持つことの大切は教わってきていますが、肝心なその方法はこれから学ぶというカタチです。
◆ カテゴリー:目標設定
必要なもの4 : 脱・思考停止
ラーニングゾーンでは、これまでの知識・経験をもとに汗をかいてその空間・環境に適応しようとする姿が見られますが、汗をかくのはなにも身体だけではありません。
あなたの脳も、普段以上に思考を活性化することで(※イメージとして)汗をかくことができます。また、そうすることで、目の前の種々の課題の解決につながる最適解を導き出していくことができるでしょう。
それに対して、あなたがコンフォートゾーンにいるとき、脳は思考停止に近い状態にあるかもしれません。なぜなら、そのゾーンではあなたにとっての多くのことが満たされた状態であるため、そこからさらに進化や成長に向けて考える必要がないからです。
脳もその他の身体の部位と同じで、働き過ぎては疲れてしまいますのでメリハリが必要ではないでしょうか。せめてラーニングゾーンにいるときは、とことん働いてもらいましょう。
◆ カテゴリー:思考
必要なもの5 : 心身の疲れをケアするリラックスタイム
ラーニングゾーンでの活動では心身に一定の負荷がかかってくるため、当該ゾーンで活動しつづけるためには、溜まった疲労をその都度ケアしていく必要があります。
そこで必要になってくるのがリラックスタイムです。ここでいうリラックスの目的は、気分転換のような軽いものではなく心身の疲労の回復です!
端的に言ってしまえば、疲労の原因は「① 身体に力が入っている」「② 気が張り詰めている」といった緊張状態であり、リラックスタイムでは①と②の逆の状態を作っていく必要があります。
手軽にリラックス状態を作れるのは深呼吸です。上手く行うことができれば5分といった短い時間でもリラックス状態を作ることができます。
ただ、深呼吸は自律神経の働きにより自動化されている呼吸のリズムを自らコントロールしようとするものなので、『よし。ちょっと深呼吸しよう!』と意識的に行わなければ、習慣化していくことは難しいかもしれません。
◆ カテゴリー:ストレス
まとめ
繰り返しますが、多くの人が現在のコンフォートゾーンを形成することができたのは、ラーニングゾーンでの学習の機会を外部から段階的に与えられてきたところが大きいと思います。
あなたが今後もさらなる成長を望む場合、まずは一歩だけでもよいのでラーニングゾーンに踏み出す必要があります。
さらにいえば、同じ志を持つ仲間を見つけたり、そのような仲間が集まるコミュニティーに参加するのも良いかもしれません。
幼稚園や小学校、中学校から大学に至るまで、あなたは決して一人で学習をしてきたわけではないからです。
※ この記事ではねんど130さんによる素材を主に使用しています。
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