「総合型選抜」合格へ向けた第一関門である志望理由書(自己推薦書)の作成。この記事では、書類審査突破に必要と思われるポイントについて詳しく解説をしていきます。
自己分析の結果や志望校研究の成果を最大限に活かしていくためにも、記事で述べる7つのポイントをぜひ参考にしてもらえればと思います。
読み手のこころに響く志望理由書の書き方
志望理由書において高評価を得るためには、読み手のこころを動かしていく必要があります。以下の7つの手順に沿って、ライバルたちに差をつけるインパクトのある文章を作成してみてください。
ポイント1: 書き出しでは高校での実績を最大限にアピール
志望理由書は自己推薦書でもあるので、まずは自分が貴学への入学に値する人物であることを最大限にアピールしていく必要があります。
そのためには高校3年間でどのような優れた実績を達成することができたのかを、ここでは謙虚さをゼロにして記述していってください。
謙虚さは日本人の美徳とされる部分ですが、志望理由書に限っては自分自身を明一杯自慢していいと思います。
よく入学後の抱負や目標から書き始めるケースが見られますが、それでは抱負や目標を第一にアピールすることになってしまいます。自己推薦なので、まずはこれまでの実績をアピールするべきですね!
なお、総合型選抜では高校での実績に関して、学部ごとに出願基準を設けているはずなので、まずはそれをクリアすることができているか確認してみてください。
◆ カテゴリー:目標設定
ポイント2: 実績を達成するための努力の様子をアピール
冒頭で実績を最大限アピールした後は、その実現のために行ってきた努力の様子をアピールしていきましょう。
どのような問題や困難な状況が生じたのか、また、それらをどのように解決してきたのかについて、具体的なエピソード(必須です!)を交えながら詳細に述べていきます。
総合型選抜に出願する生徒は、チームのリーダー的な立場にあるケースが多いと思います。その場合、チーム内にどのような問題が生じ、それをどのように解決に導いてきたのかについて詳しく書いていきます。
リーダーとして、チームのまとまり・一体感を作り上げてきたプロセスも、貴重な実績の1つとして評価されると思います。
大学側としても、総合型選抜で入学してくる学生には、各方面でリーダーシップを発揮して欲しいと願っているはずなので、チームを牽引してきた経験値は全面的にアピールするべきですね。
◆ カテゴリー:コミュニケーション
ポイント3: 努力の過程で得た気づきや発見、学びをアピール
これまでの努力を過程を振り返ると、きっとあなたは問題解決に向けて必死に考えてきたと思います。それはまさに考えながら懸命に努力する様子ですね。
そして、多くの時間をかけて考え、試行錯誤した結果、問題解決につながる気づきや新たな発見があったのではないでしょうか。
それらはまさにあなただけのオリジナルな学びであり、評価者を唸らせるものになる可能性があります。
高校に比べ大学では、個々人はより主体的に学びを展開していくことが求められます。
そのような学習の姿勢が既にしっかりと身についている点をアピールするためにも、自分だけのオリジナルな学びにとことん言及して欲しいと思います。
ポイント4: さらなる成長へ向けての目標をアピール
あなたが高校で優れた実績を達成することができたのは、明確な目標があったからです。なんとなく取り組んでみて、自慢できるほどの成果を挙げられたわけでは決してないですよね。
つまり、あなたが大学4年間でさらに成長していけるかは、ここでアピールする目標にかかっているといっても過言ではありません。
ただ、目標そのものは以下の2点を踏まえて検討していく必要があります。
これまでの実績とのつながりが明確な目標である
これまでのように努力を継続すれば達成可能な目標である
これまでの実績とあまり関係のない目標を唐突にアピールしては、聞こえの良い入学後の抱負だけを並べるのと同じになってしまうので、高校までの実績をさらに発展させていく形が大切です。
また、あまりにも難易度が高い目標を設定しては途中で挫折してしまうおそれがあるので、能力的な現在地をきちんと踏まえた上で、無理のない範囲での挑戦的な目標が理想的です。
◆ カテゴリー:目標設定
ポイント5: 目標達成に向けて、志望校での学びが最適である点をアピール
このポイント5が、志望理由書において最も難しい点かもしれません。先に述べた挑戦的な目標を達成していく上で、志望校での学びが欠かせない点を以下の複数の視点からアピールしていきましょう。
- 大学の教育理念や歴史
- 4年間のカリキュラムや魅力的な教育プログラム
- 志望校でしか学ぶことができない科目
- 取得可能な資格
- 特色ある教授陣
- キャンパスの雰囲気 など
ここで、志望校のオープンキャンパスに参加し、実際に大学の様子を肌で感じたことがあるという点はポイントが高いと思います。
大学によってはオープンキャンパスは年に何度も開催されていますので、可能であれば複数回参加し、入学への熱意を行動で示しておくことも有効ではないでしょうか。
一方で、大学のホームページやパンフレットから得られる情報のみに頼るのはいささか問題がありそうです。
なぜなら、それら容易に手に入る情報はライバルも同様に入手しており、志望理由書の中でアピールしてもそれほど新規性やインパクトはないからです。
ポイント6: 目標達成に向けた4年間のシナリオをアピール
シナリオとは、目標を確実に達成するための計画づくりのことです。4年後の目標達成に向けて、1年ごとに段階的な目標を設定する形で十分だと思います。
シナリオが具体的であればあるほど、評価者側は入学後のあなたの様子を具体的にイメージすることができるでしょう。
高校と大きく環境が変わる4年間を展望することは容易ではないかもしれません。ですが、その簡単ではない作業(シナリオづくり)を時間をかけて行い、その内容を志望理由書に明記する意義は大きいと思います。
◆ カテゴリー:目標設定
また可能であれば、年単位での目標に加えて、大学での1日1日をどのような意識や習慣で過ごしていくかについても抱負を述べてはどうでしょうか。
大学での大きな目標の達成に欠かせないのは、日々の小さな目標を確実に達成していくという姿の繰り返しです。
ある日突然大きな目標が達成されるわけではありません。上で述べた地道な姿が大きな目標を達成する実質的な取り組みとなっていくものです。
何も難しいことはありません。あなたが高校において日々実践してきた姿をベースに言語化すればOKです!
ポイント7: 自分にとっての座右の銘もアピール
高校生活の中で感銘を受けた言葉や、辛い時に精神的支えとなった言葉があれば、ぜひ積極的に文面の中で言及してもらいたいと思います。
例えば…
- 一事が万事
- 昨日よりも今日、今日より明日
- 自分を自分の力で成長させていく人間になれ
このような座右の銘ともいえる言葉が提示されることで、評価者側はあなたがどのような思いや価値観、態度のもと、数々の課題と向き合ってきたのかを具体的にイメージすることができます。
つまり、あなたのこれまでの様子に思いをはせることができるということです。それをさらに促すためには、座右の銘との出会いのエピソードも文面に添えられるといいですね。
志望理由書におけるNGポイント
次に、『これは避けたい!』といったNGポイントをまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
その1: 用紙の最後に空白を残さない
合格を目指すのであれば、志望理由書の最後の方に1行、2行程度の空白を残すべきではないと思います。
入学へ向けての意欲が十分に高い人であれば、その気持ちをぶつける志望理由書に空白を残すようなことはしないのではないでしょうか。むしろ、『用紙が足りない!』ぐらいになるはずです。
厳しいことをいうようですが、空白があるということは、『入学に向けてそこまで熱意がない』ととられても仕方ありません。
総合型選抜は一般入試と同様に、多数の候補者の中で選抜が行われます。空白を残したままで、その選抜を勝ち抜いていくことができるでしょうか。
その2: 自分の先生を推薦しても仕方ない
理由書の中で、自分が影響を受けてきた高校の先生を詳しく紹介するケースが見られます。それって形だけを見れば先生を推薦していることにならないでしょうか。
自己推薦なので、先生よりも自分自身を最大限にアピールし、合格(入学)に値する人物であると推薦していく必要があります。
本人はその先生のことを素晴らしく思っているのでしょうが、志望理由書への記載においては、その気持ちは胸の内に大切にしまっておいた方が賢明です。
あなた自身も、ぜひ、次の世代の子どもたちに大きな影響を与えられる人物になっていって欲しいと思います!
その3: これまでの経験・実績とつながりが薄い抱負は要注意
大学入学後の抱負だけを述べようとすれば、きっと誰でもそれなりの文章を書くことができると思います。
ですが、これまでの経験や実績とのつながりを明確にさせながら、それをさらに発展させていくための抱負を具体的に述べるとなると、ハードルは高くなるのではないでしょうか。
入学後の抱負だけをキレイに並べたとしても、正直、読み手のこころには響かない可能性が高いです。
なぜなら、それらはあくまでも唐突に示された抱負であり、その内容から本人が入学後に懸命に頑張る姿をリアリティーを持って想像してもらうことができないからです。
これまでの経験や実績としっかりと結び付け、受験生のこれまでとこれからの連続体として抱負を述べることで、入学後の姿を明確にイメージしてもらうことができます。
その4: 『もし入学できたら…』という仮定の話はしない
入学後の抱負を述べる部分で、『もし入学できたら…』という仮定の話をしてしまっていないでしょうか。
『入学できたら一生懸命がんばります!』という抱負は、裏を返せば『入学できなければ頑張りません…』といっているようなものです。
やや意地悪な見方かもしれませんが、総合型選抜では優れた実績を持つ受験生たちが出願していきます。その中で高い評価を勝ち取っていく上で、仮定の話をしていていいと思いますか?
『自分は貴学に絶対に合格し、そこで新たな目標の達成に向けて4年間懸命に努力していきます!』と言い切るぐらいが丁度いいでしょう。
その5: 大学と自宅との近さをアピールしてもあまり意味はない
『貴学は私の自宅からも近く…』というように、志望大学への自宅からのアクセスの良さをアピールするのは避けた方がよいと思います。
これもやや意地悪な見方になってしまいますが、『自宅から近ければどの大学でも良かったのでは』と思われてしまうおそれがあるからです。
受験生の中には、大学から遠く離れた地から応募してくるケースも見られます。仮にその子が合格できて大学の近くに下宿した場合、通学時間はそれほどかからないことになります。
なので、志望理由書において大学と自宅との近さをアピールする意味はあまりないといえるでしょう。
まとめ
最後に改めて、この記事で紹介した書き方のポイントを一覧で示します。
- 書き出しでは高校での実績を最大限にアピール
- 実績を達成するための努力の様子をアピール
- 努力の過程で得た気づきや発見、学びをアピール
- さらなる成長へ向けての目標をアピール
- 目標達成に向けて、貴学での学びが最適である点をアピール
- 目標達成に向けた4年間のシナリオをアピール
- これまでに感銘を受けた言葉をアピール
いまはデジタル全盛期ですが、志望理由書は未だ手書きが基本となっていると思います。
「手書きは非効率的」と思われるかもしれませんが、実際に手を使って文字を書くことで、その一つひとつの文字に感情移入することができるといわれています。
書類選考を突破できれば次は面接です。そこで最高のパフォーマンスを発揮するためにも、志望理由書への記入を通して気持ちや考えを整理し、さらに意欲を高めていけるといいですね。
最高の志望理由書・自己推薦書の作成に向けて、この記事で紹介したポイントが少しでもお役に立てば幸いです。
◆ カテゴリー:目標設定
コメント