ストレス社会を生き抜く現代人にとって、ストレスへの耐性を高めることは大切です。ところでストレス耐性とは、どれだけストレスに耐えることができるかという我慢強さのことを指すのでしょうか?
この記事では、ストレス耐性を私なりに定義しながら、その高め方についてわかりやすく解説をしていきたと思います。
ぜひ最後までお付き合いいただけるとうれしいです。
ストレス耐性とは
ストレス耐性とは、ストレス(心理的な負担感)にどの程度耐えられるかという抵抗力のことを意味します。
また、ストレス耐性が高い人・低い人と表現されることから、この耐性には個人差が見られるということです。
ただ、この説明では、ストレスを感じていてもそれを我慢することがストレス耐性であるといった印象を受けないでしょうか。
特にビジネスパーソンは身体が資本でもありますので、やはり無理は禁物だと思います。そこで、私なりにストレス耐性を以下のように定義してみました。
生活や仕事面での環境が厳しい中でも、ストレスに上手く対処しながら活動しつづけられる、結果を出しつづけられるチカラ
人はストレスを感じつづけると、心身相関の関係性からその負の影響は身体面にも表れ始めます。そして、その影響がさらに長引くと、最終的に就業が不可能な状況に陥ってしまうおそれがあります。
そのため上の定義では、ストレスを感じている状態に耐えつづけるのではなく、その都度ストレスに上手く対処することができる点が、ストレス耐性の本質として強調されています。
以下、この記事ではストレスへの対処方法についてわかりやすく解説をしていきます。
ストレスの元となるストレッサーとは
ストレッサーとは、ストレスの元となる外部からの刺激のことです。
例えば、相性があまり良くない上司や同僚等といった人間関係、毎日の通勤や通学、都会であれば人の多さ、課題や勉強の量や内容、経済的なこと、気温や湿度、虫の発生など、実に多様な要因がストレッサーになる可能性があります。
つまり、私たちのストレスは何もないところから生まれるのではなく、そこにはストレスの原因となるストレッサーがあるわけなんですね。
さらにいえば、何がその人のストレッサーになるかは実は一人ひとりで違います。例えば、暑い夏をストレスに感じる人もいれば、そうでない人もいます。後者の人は自然の中でのキャンプや海でのレジャーを満喫している人かもしれません。
別の例だと、社会人向けの講座において『あなたにとってのストレッサーは何ですか?』と質問すると、『(自分の)時間がないこと!』と答える方が多い印象がありますね。
では、あなたにとっての主なストレッサーは何ですか??
ストレスが生じる時系列的な流れ
日々の生活の中でストレスが生じる流れを簡単に示すと以下のようになります。
ストレッサーを受けてストレス状態となり、その後、ストレス反応が心身に表れ始めるという様子が示されています。
私たちが『ストレスがある』というのは、このストレス反応が出てきたタイミングのことをいいます。
ではあなたは、自分にとってのストレス反応がどのようなものかきちんと認識することができていますか?ストレスで怖いところは、ストレスを感じている自覚症状がない場合だと思います。
ストレスに上手く対処できるという特性としてのストレス耐性を高めていくためには、最初のステップとして、ストレス反応に早い段階で気づくことができるという点が大切になります。
ちなみに、私自身の主なストレス反応は目の周りがピクピクとけいれんしたり、手足にじんましんが出たりするところです。
日々の労働状況と照らし合わせながら繰り返し検証し、これらはストレス反応ととらえて間違いないだろうという結論に至っています(笑)。
いま振り返ると、特にじんましんは中学生の頃から出ていたようで、もっと早く気づいてあげられたらと思いますね。
参考までに、身体面と行動面におけるストレス反応を以下に明記しておきます。『これってもしかして私のストレス反応かも!?』というものがありませんか?
身体面に表れるストレス反応
- 頭痛
- 胃潰瘍
- 下痢
- 便秘
- じんましん など
行動面に表れるストレス反応
- 引きこもり
- 爪かみ
- 幼稚な行動
- 暴力
- 食事量の減少 など
ストレスへの対処方法―ストレス耐性を高める方法―
ではいよいよ、ストレスへの対処方法について述べていきます。簡単にいってしまえば、ストレスへの対処はストレス反応前のもの(事前対応)と、ストレス反応後のもの(事後対応)に分かれます。
ストレス反応後の対処(事後対応)
事後対応とは、以下の図のピンクの矢印の部分に当たるもので、よく耳にするストレス発散やストレス解消法といわれる方法です。
この事後対応には自らが率先して行う能動的なものと、相手にしてもらう受動的なものがあります。順に説明をしていきますね。
能動的な事後対応
以下に示すのは、私が大学の授業の中で確認をしてきた、学生たちが行う能動的な事後対応です。
- 適度な運動やスポーツをする
- 睡眠をとる
- 友達とお喋りする
- おいしいもの、好きなものを食べる
- 好きな音楽を聴いたり映画を観る
- 入浴してリラックスする
- 買い物をする
- お酒を飲む
- ドライブをする など
ここで大切なのは、これらストレス反応後の事後対応にも自分に合うものとそうでないものがあるということです。当然ながら、お酒に弱い人は飲酒自体がストレスになってしまいます。
感覚的に自分に合うものを選択し、ストレス反応を感じた際に意識的に行っていくことが望ましいですね。
受動的な事後対応
次に、相手にしてもらう受動的な対処方法について説明すると、ここに当たるのはソーシャルサポートと呼ばれるものです。
あなたを取り巻く重要な他者から得られる、有形無形のさまざまな援助のことで、以下の各内容のものになります。
- 自分の気持ちに共感してもらえる
- 有益な情報を提供してもらえる
- 役に立つ道具を貸してもらえる など
自分はこれらの援助を誰から提供してもらうことができるのか、時間がある時にでも一度確認しておいてはいかがでしょうか。
もう一点付け加えると、重要な他者からソーシャルサポートを効果的に得るために必要なものがあります。なんだと思いますか?
それは、自分がいま困っていることを相手側にきちんと伝えるということです。
自分が困っている様子から、助けて欲しい気持ちを感じ取って欲しいと思う人もいるかもしれませんが、いますぐ援助をして欲しい場合は、やはり自分からヘルプと伝えていく必要がありますね。
スムーズにお願いできる人もいれば、そもそも人に頼る習慣がない、プライドが邪魔するなど、人それぞれの事情もあると思います。
ですが、あなたにとっての重要な他者は、困っているならいつでも頼ってきて欲しいと思っているはずですね。
ストレス反応前の対処(事前対応)
ストレス反応前の対処をこの記事の最後に持ってきたのは、個人的にこちらの対応がより大切であると感じているからです。
この事前対応において行われることは、端的にいってストレッサーとなりうる外部からの刺激を、どのようにとらえるか(認知するか)ということです。
さらにいえば、ストレッサーがストレス状態につながるケースというのは、その外部からの刺激を自分にとって望ましくないものと認知したときです。
逆をいえば、外部からの刺激を自分にとって望ましいもの、プラスになるものと認知することができれば、そのストレッサーはストレス状態にはつながらないということになります。
つまり、身の回りのストレス源を自分で上手くコントロールしているという形です。冷静に見ると、これってすごいことだと思いませんか?
例えば、仕事の面で上司から指摘や注意を受けてしまったという刺激を、『自分の成長につながるポイントを教えてもらえた』ととらえることができれば、いつまでもクヨクヨと落ち込むことなく、改善に向けた挽回行動を積極的に取っていくことができるはずです。
そのような前向きな姿を見せることで、上司との関係も良好になっていくことが期待されますね。
また、社会人によく見られる『時間がない』という状況も、『時間がある場合に比べ、集中力を発揮し、より生産性を高められる環境だ』ととらえることで、ストレス状態になることを防ぐことができると思います。
現代はストレス社会といわれますが、昔に比べれば生活面も各段に便利になり、快適に生活することができているはずです。
もしかして、社会全体がストレスに満ちているのではなく、物事をとらえるヒトの認知能力が徐々に低下してきてしまっているのかもしれません(あくまでも仮説ですが)。
なお、ストレス反応前の認知的な事前対応は、専門的にはリフレーミングと呼ばれる心理技能で、ストレスの発生源を上手くコントロールする有効な手法であると思います。
さらに詳しく知りたい方は、ぜひ以下の関連記事もご覧になってみてくださいね。
まとめ
この記事ではストレス耐性を以下のように定義し、その都度、ストレスに上手く対処することができる点がストレス耐性の本質であるとしました。
生活や仕事面での環境が厳しい中でも、ストレスに上手く対処しながら活動しつづけられる、結果を出しつづけられるチカラ
歯を食いしばってストレスに耐え続けるのがストレス耐性であるととらえてしまうと、いつかドロップアウトしてしまう可能性が高まります。
常に自分自身をモニタリングし、身体から黄信号が灯れば、自分に合った事後対応を取ってください。時には周りからサポートを受けることも有効ですね。また、目の前の状況をネガティブにとらえ過ぎないことも大切です。
また、事前対応だけ、事後対応だけでもそれぞれ限界があるので、肝心なのは2つの対応をバランスよく行いながらストレスに上手く対処していくことです。
それができるようになったとき、あなたのストレス耐性は間違いなく高まっているはずです。
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