誰もが一度は『メンタルが強い』という言葉を口にしたり、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
MLBの大谷翔平選手や、テニスの錦織圭選手といった大舞台で堂々と活躍できるアスリートを見ても、多くの人は『メンタルが強い』という感想を持たれるかもしれません。
では、そのメンタルが強い人の特徴とは具体的にどう表現されるでしょうか。その特徴を具体的に知ることで、メンタルを鍛えていくためのヒントを得ることができるのではないかと思います。
この記事では『12』にわたる側面から、メンタルが強い人の特徴を詳しく解説していきます。
メンタルとは
まず、『メンタル』の意味から確認しておきたいと思います。
簡単に言えば、心技体の心に位置づく言葉で、『精神力』や『精神性』ともいわれている部分です。
俗にいう『筋トレ』が体を鍛える言葉であるように、『メントレ』または『メンタルトレーニング』は心を鍛える言葉として使われています。
アスリートに対して行われるメンタルトレーニングの文脈では、トレーニングの対象となるメンタルは『心理的競技能力』と呼ばれ、以下の12の能力要素から構成されるとされます。
- 忍耐力
- 闘争心
- 自己実現意欲
- 勝利意欲
- 自己コントロール能力
- リラックス能力
- 集中力
- 自信
- 決断力
- 予測力
- 判断力
- 協調性
これら能力の一覧を見ても、私たちが何気なく使うメンタルという言葉には、実に多くの意味があることがお分かりになると思います。
メンタルが強いとは、この『心理的競技能力を高いレベルで身につけている』と言い換えることができるということです。
それでは以下より、メンタルが強い人の特徴を順に述べていきたいと思います。
メンタルが強い人の特徴
特徴1 : プレッシャーがかかる場面でも本来の実力を発揮できる
この1つ目の特徴は、『メンタルが強い』という言葉から連想される代表的なものではないでしょうか。
人は誰しもプレッシャーがかかると、緊張したり意識過剰になってしまい、本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。
メンタルが強い人は、そのプレッシャーを跳ね返したり、逆にそれをエネルギーに変えて、パフォーマンスの発揮につなげていくことができます。
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特徴2 : たとえ批判されても自分の考えを簡単には変えない
私たちは自分のやり方というものがあり、その方針にもとづきながら活動しているところがあります。
自分自身が信じて疑わない考えは時に信念といわれ、自らを支える芯としての役割を果たしていきます。
ですが時として、その芯のあり方は『間違っている』、『変更した方が良い』等と周囲から批判されることがあります。
それら貴重なアドバイスに耳を傾けながらも、コロコロと考え方を変えるのではなく、自らの信念を大事にしていくことができる姿は、メンタルが強い人の特徴といえるのではないでしょうか。
特徴3 : 人からの批判を受け止めることができる
人に対する言葉かけには、褒めるといったプラスの言葉かけと、指摘や批判、叱責、注意といったネガティブな言葉かけがあります。
誰しも前者の内容であればウエルカムですが、後者の内容には耳をふさぎたいと思うはずです。
ですが、メンタルが強い人は自身がさらに成長するための機会として、ネガティブな言葉かけであっても無視したり、反発したりするのではなく受け止めていくことができるでしょう。
特徴4 : 誰に対しても自分の意見を伝えていくことができる
「誰に対しても」という部分には、先輩や上司といった自分よりも上の立場の人物も含まれています。
いたずらに自身の意見をひけらかすという意味ではなく、状況的に自分の意見を述べた方が望ましいと判断した時に、遠慮せずに自らの意見を伝えていくことができる様子を表しています。
また、一対一の場に限らず、大勢を前にしても堂々と自分の意見を主張していくことができる姿も、この特徴4に含まれています。
特徴5 : 困った時に人に頼ることができる
人に頼るという行為は、『自分一人では上手く対応することができない』という状態を相手に伝えていることと同じです。
もっと具体的に言えば、ある部分での相手の実力を認めた上で、その力を貸して欲しいと依頼をしていることになります。
人は誰しも、『認められたい』という承認欲求を持っていて、人より優れている部分を周囲にアピールしていきたいと思うものです。
ですが、メンタルが強い人は、それとは逆の自分の弱い部分を周りに開示していくことができます。
そのようなことが平気でできるのは、自分自身に揺るぎのない自信があるからではないでしょうか。
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特徴6 : 人と比べ過ぎない
人間は社会的な生き物ですので、生きていく上で社会生活を営むのは自然な形であるといえます。
その結果として生じるのが、他人と自分を比べるというものです。
『人と比較してはいけない』とよくいわれますが、他者の存在が目に入ってくる限り、比べてしまうのは仕方がないことだと思います。
むしろ、比べてしまったとしても、『人は人、自分は自分』と早い段階でその比較をストップすることができるのが、メンタルの強い人の特徴であるといえます。
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特徴7 : 気落ちの切り替えが早い
ひとたび何か嫌なことがあると、人はなかなか気持ちを切り替えることが難しくなってしまいますよね。
難しくはなるものの、ずっとそのような状態にあるわけではなく、何かをキッカケとして、どこかで気持ちが切り替わってくるのではないでしょうか。
一方、メンタルが強い人は、それを早い段階で、しかも自分自身で切り替えていくことができます。自らの力で、自分自身を上手くコントロールしていくことができるというわけです。
特徴8 : 失敗やミスを早期に挽回していくことができる
何か失敗をしてしまった後の反応は、主に次の2つに大別されると思われます。
一つは自らの行いをいつまでも後悔したり、気持ちが落ち込みつづけるといったもの。
もう一方は、先の『特徴7』で述べたとおり、早い段階で気持ちを切り替え、その失敗やミスを挽回していくことができるといったものです。
もちろん、メンタルが強い人の特徴は後者となります。
また、その失敗やミスの影響範囲が個人に留まらず、チーム全体に及んでしまうものである場合、その挽回行動は極めて重要なものとなってくるのではないでしょうか。
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特徴9 : 明確な目標を持っている
ここでいう明確な目標とは、自分自身が心から達成したいと願う目標のことです。
そのような目標がある時、人はその達成に向けて最大限の努力を継続していくことができます。
また、そのような目標がある人には『なんとしても目標を達成する!』といった勢いが感じられ、周囲からの影響を過度に受けることなく、ブレずに前に進んでいくことができるといえます。
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特徴10 : 最後まで諦めない
不利な状況の下では、誰もが弱音を吐いて途中で諦めてしまうと思われます。
ですが、メンタルが強い人は最後の最後まで諦めることなく、果敢に挑み続けていくことができます。
そのような強い気持ちと行動を体現できるのは、自分自身の能力や可能性をとことん信じることができているからではないでしょうか。
そこには、自らのことを疑う気持ちは微塵もないのかもしれません。
特徴11 : オンとオフの切り替えができる
どうしても頑張らないといけない時は誰にでもあると思います。ですが、そのような戦闘モードを一定期間維持するためには休息も大切です。
常にオンの状態でいつづけることはやはり無理があり、オンとオフを上手く切り替えながら、メリハリをつけて取り組んでいくことが、全体的に見て高いパフォーマンスを発揮できることになると考えられます。
メンタルが強い人は、忙しい時でも勇気を出して休むことができるというわけですね。
特徴12 : 新しいことにチャレンジしていくことができる
健康的な毎日を過ごしていく上で、安定的な職に就き、心穏やかに日々を過ごしていくことはとても大切なことだと思います。
そのようなライフスタイルを選択する人々がいる一方で、自分自身がさらに成長していくことに価値を置く人々もまた見られます。
そのような人々は、失敗を過度に恐れず、新しいことに積極的にチャレンジしているといえます。
そして、そのような新しい境地を果敢に切り開いていく人々の特徴の一つとして、『メンタルが強い』という表現を用いることができるのではないでしょうか。
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メンタルの診断方法
次に、自身のメンタルを診断する方法について紹介をします。
ここで提示するのは、アスリートを対象とした診断方法ですが、過去に部活動等でスポーツをやられていた方でも、当時の様子を振り返りながら回答することは可能だと思います。
それはこの記事の冒頭の『メンタルとは』内で紹介をしました、『心理的競技能力』を診断する心理検査で、正式名称は『心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)』となります。
この検査では、個人の心理的競技能力(メンタル)を構成する、以下の12の能力要素(再掲)を客観的に評価することができます。
- 忍耐力
- 闘争心
- 自己実現意欲
- 勝利意欲
- 自己コントロール能力
- リラックス能力
- 集中力
- 自信
- 決断力
- 予測力
- 判断力
- 協調性
検査の所要時間と検査対象
検査についての細かな点を補足すると、検査自体は52の質問項目からなり、回答に要する時間は15分程度です。
正式な検査対象は中学生から社会人までのスポーツ選手(アスリート)とされていますが、過去にスポーツをやられていた方でも、当時の様子を思い出しながら回答することは可能です。
また、自身のメンタルに興味・関心がある方であれば、自分がスポーツ選手であると仮定しながら回答することは可能と思われます。
検査結果の様子
すべての質問に回答後は、自分で集計作業を行い、以下のようなプロフィール図を描くことができます。
プロフィール(赤線)で描かれた部分の面積が大きいほど、心理的競技能力が全体的に高い(メンタルが強い)として解釈されます。
出典 : DIPCA.3商品ページ/株式会社トーヨーフィジカル
検査の開発者と検査用紙の購入方法
この心理的競技能力診断検査の開発者は、ともに九州大学名誉教授である徳永幹雄先生と橋本公雄先生という方です。
また、心理的競技能力診断検査は、株式会社トーヨーフィジカルより販売されています。
価格は50部1セットで11,000円(税込み)と決して安くはありませんが、自身のメンタルを客観的に評価可能な信頼性の確保された検査として、一度試してみる価値はあると思います。
私自身も、自分が担当する授業の中で毎年活用させていただいています。
◆関連情報◆ 株式会社トーヨーフィジカル
まとめ
人のメンタルというのは、筋力等の身体的な強さに比べ、外観からはわかりづらいという面があると思います。
一方で、この記事で紹介をしたとおり、メンタルが強い人の特徴にはさまざまな側面を挙げることができます。
それは人のメンタルそのものが、多くの能力要素から構成される広義な概念であるためとといえます。
オリンピック・パラリンピックをはじめとした、レベルの高いスポーツの大会には、強靭なメンタルを持つアスリートたちが集まってきます。
その優れたパフォーマンスを通して、私たちはメンタルの強さも同時に感じ取ることができるのではないでしょうか。
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