こんにちは。あなたの自分づくりをちょこっとサポート「しまらぼ」のしまもとです。
ライフスキルとは簡単にいえば生き方のスキル・技能のこと。文部科学省がその育成を推進する生きる力にも例えられる大切な能力です。
代表的なものとしてはストレスに上手く対処するストレスマネジメントスキルや、多様な他者と円滑な関係を築くコミュニケーションスキルが挙げられます。
そして、このライフスキルを専門的に学ぶことができる授業が、2024年度より石川県七尾市にある鵬(おおとり)学園高校にて始まりました!
この記事では、そんなライフスキル授業について詳しく紹介していきたいと思います。
鵬学園高校におけるライフスキル授業
鵬学園高校(校長:上坂俊就先生)は能登半島の中央にある私立高校で、石川県七尾市(赤丸箇所)に位置しています。部活動もとても盛んな学校です。
学科は普通科と石川県内唯一の調理科を擁し、ライフスキル授業は普通科のライフマネジメントコース(進学・キャリア)にて受けることができます(2024年度は41名が受講中)。
同コースの1年生の授業では、以下に示す各ライフスキルについて、それぞれの専門家による講義を対面またはオンラインにて受けることになります。
- 自ら考える力
- 目標設定スキル
- 最善の努力
- 失敗からの挽回行動
- コミュニケーションスキル
- ストレスマネジメントスキル
- 体調管理スキル
- 礼儀・マナー
- 感謝する心
- 謙虚な心
- 自己理解
上記のスキル・技能の一覧を見てもわかると思いますが、ライフスキル授業は主要5科目をはじめとした、既存の教科の授業とは異なるものです。教科としては「探求」という位置づけになっています。
日本の学校教育全体が目指している子どもたちの人(人間)としての成長を、ダイレクトに進めていく・支援していくというイメージです。
自らの人生を力強く生きていく上での根幹となるもの、また、自分軸を形成するこれらスキル・技能を、正規の授業として深く学ぶことができるのは、私の知る限り全国初のケースであると思います。
以下は、2024年度のシラバスに記載されているライフスキル授業の学習目標です。
- ライフスキルや同スキルを獲得する意義について理解し、その概要を説明できる
- ライフスキルを獲得する方法論について理解し、その概要を説明できる
- 運動部活動の経験から獲得された自身のライフスキルを理解し、それらを説明できる
- ライフスキルの獲得をさらに促すための、次年度の活動計画を具体的に設定できる
3点目では運動部活動との関係が述べられていますが、従来、このライフスキルはスポーツとの関係で注目されてきました。
大谷翔平選手をはじめ、一流のスポーツ選手には人間的に立派な人物が見られることから、スポーツを通じてライフスキルを獲得することができると考えられているわけです。
もちろん、そのような面もあると思いますが、この授業ではダイレクトにライフスキルそのものにアプローチし、その獲得を力強く支援していく形を取っています。
◆ カテゴリー : 教育・スポーツ
今までにない高校生の育成を実施
ライフスキル授業を取り入れるライフマネジメントコースでは、「今までにない高校生の育成を実施」と謳っています。
「今までにない」というとちょっとオーバーに聞こえるかもしれませんが、現在の学校教育の中では、以下のライフスキルを専門的に正規の授業として受講することは非常に難しい状況です。
- 自ら考える力
- 目標設定スキル
- 最善の努力、失敗からの挽回行動
- コミュニケーションスキル
- ストレスマネジメントスキル、体調管理スキル
- 感謝する心、謙虚な心、礼儀・マナー
- 自己理解
『では大学生になったら受講できるの?』というと必ずしもそうではないと思います。ではいつになったら学ぶことができるのか?多くの場合は社会人になってからでしょう。
書籍を通しての独学や大学等での社会人の学び直し・リカレント教育、専門家による個別コーチング等を受けながら学びを深める形になってくると思います。
つまり、溢れんばかりのエネルギーと体力、行動力、そして柔軟な頭脳を持つ高校生がライフスキルを本格的に学ぶというケースはこれまでにないことといえます。
それによって彼・彼女らが今後、どのように成長していくのかはいい意味で想像ができません。
「今までにない高校生の育成を実施」という言葉には、そんな生徒たちの未来への大きな期待が込められているというわけなんですね!
◆ カテゴリー : 教育・スポーツ
ライフスキル授業を担当する専門家とは
このライフスキル授業は私を含め総勢14名にのぼる専門家集団が担当しています。
『えっ?ライフスキルの専門家がいるの?』と思われたかもしれませんが、はい!全国には大学教員を中心としたライフスキルの専門家の方々がいらっしゃいます。
高校生が大学教員の授業を受ける場合、特定の高校と大学が協定を結ぶ高大連携事業を通して実現しますが、鵬学園は多数の大学の教員たちと連携しているので、通常の高大連携とは異なるケースといえます。
以下は、このライフスキル授業を担当されている方々です(一部掲載)。
- 目標設定スキル …… 陳昱龍先生(至誠館大学)
- コミュニケーションスキル …… 持田和明先生(立命館大学)・山本浩二先生(関西福祉大学)
- ストレスマネジメントスキル …… 嘉瀬貴祥先生(人間環境大学)・竹村りょうこ先生(上智大学)
- 考える力 …… 東海林祐子先生(慶應義塾大学)・守屋志保先生(江戸川大学)
- 礼儀・マナー 感謝する心 …… 亀谷 涼先生(流通科学大学)
- 自己理解 …… しまもと(法政大学/取りまとめ役)
どなたもライフスキルの学術論文を発表したり、教育実践面で精力的に活動されている方ばかりです。そのようなメンバーの講義をまとめて受けることができるなんて、かなり贅沢な授業です!
私自身、ことライフスキルに関しては新たな知見を探る研究面も大事ですが、ライフスキルに関する知識・技能を体験を通して伝授する教育実践面がより大切だと考えています。
ただ、これまでは特に児童・生徒への教育実践の機会がなかなか確保できないのが現状でした。そういう意味で、鵬学園でのライフスキル授業は待ちに待った貴重な機会であるといえます。
と同時に、専門家の方々の授業へのやる気・動機づけも相当高いものになっています(笑)
ライフスキル授業が鵬学園ではじまった経緯
ことの始まりは私と鵬学園サッカー部監督の赤地信彦先生との関係にあります。
2016年頃、赤地先生から私の元へ、サッカー部のメンバーにライフスキルの話をして欲しいとの依頼がありました。
そこから現在に至るまで、毎年サッカー部に対してライフスキルの講義をさせてもらっています。
その中で、サッカー部のメンバーたちの変化を校長先生にも肌で感じていただき、最終的にこのライフスキルを正式な授業としてより多くの生徒たちに提供してもらいたい、という話になったわけです(赤地先生は学園側の取りまとめ役)。
赤地信彦先生(画像出典:サッカーダイジェスト)
その鵬学園サッカー部は北信越プリンスリーグに所属するとともに、2024年の夏の石川県高校総体において初優勝を飾り、インターハイに出場しています。
また、冬の選手権大会においても、複数回にわたり全国大会出場を果たす等の輝かしい実績を誇るチームです。
ライフスキルの講義が、選手たちの人としての成長に少しでも貢献することができていたらうれしいですね!
◆―関連情報―◆ 鵬学園高校サッカー部
ライフスキル授業を受ける生徒たちの感想
ここでは、実際にライフスキル授業を受けている生徒たち(41名)に調査した、授業への感想を少し紹介したいと思います。
ライフスキル授業を受講するタイミング
普段、私は大学生に対してライフスキル授業を行っていますが、内容的には中学・高校生にも十分通じるものだと感じていました。
そこで、受講に適したタイミングを3択で質問してみました。以下がその結果です(未回収2名)。
- 高校生からがいいと思う …… 23 名
- 中学生からがいいと思う …… 16 名
- 大学生からがいいと思う …… 0 名
「中学生」を選択した子が半数近く見られた点は意外でしたが、私の事前の予想どおり、「高校生」との選択が最多となりました。
確かに、私のライフスキル授業を受けた大学生からは、『この話は高校生の頃に聞きたかった…』という感想が毎年出されているので、タイミングとしては高校生年代がベストといえるかもしれませんね。
ライフスキル授業を受講するメリット
次に、通常の教科の授業と並行しながら、このライフスキル授業を受講するメリットについても聞いてみました。
考えられる9つの選択肢をこちらで用意し、複数選択可として一人あたり最大4つまで選んでもらいました。以下がその結果です(未回収2名)。
- 大人になってからも役立つ知識が得られる …… 29 名
- 気づきが得られたり新たな発見がある …… 26 名
- スポーツのパフォーマンス向上につながる …… 24 名
- 日々の生活に対する意識が高まる …… 22 名
- 自分のことを認め、受け入れられるようになる …… 14 名
- 自分に自信がつく …… 13 名
- 自分に合った進路選択につながる …… 8 名
- 知的好奇心が駆り立てられる …… 5 名
- 勉強のやる気を高めることにつながる …… 3 名
ベスト3に言及すると、トップは実用面でのメリットでした。現在の高校生活はもちろん、これから大人になっても日々の生活で役立つ知識が得られ、技能が身につく点が選ばれました。
次は気づきや発見が得られるメリットです。ライフスキル授業では、例えば目標設定の意義や方法等について深く深く学ぶことができます。
そうした中で、これまでにない気づきや発見につながるという展開があります。人間はあることについての認識が変わることで日々の意識が変わり、それは行動の変化にもつながっていきます。
その変化が連続して起こることで、成長した自分の姿・様子として徐々に顕在化していくということです。
そして第3位は、生徒たちが日々精力的に取り組んでいるスポーツのパフォーマンス向上につながるというメリットです。
ライフスキル授業では各競技種目についての話は一切ありません。あるのはスポーツのパフォーマンスを安定的に発揮するための基礎・土台となる話ばかりです。
例えば、優れた運動神経や競技スキルを持っていたとしても、日々のストレスに上手く対処することができなければ、いずれその影響はパフォーマンスの発揮を抑制することになってしまいます。
ストレスに上手く対処するスキルは、スポーツに限らず、勉強やビジネス等のパフォーマンスを発揮する上で、大切な役割を果たしてくれているということです。
4位以下の各内容を見ても、ライフスキル授業が生徒たちにさまざまな良い影響を与えていることがわかりますね。
ライフスキル授業を受ける方法
この記事で紹介をしているライフスキル授業は、以下の方法を通して受講することが可能です。
- 鵬学園高校(普通科ライフマネジメントコース)に入学する
- 鵬学園高校(普通科ライフマネジメントコース)の体験入学に参加する
- 法政大学スポーツ健康学部に入学する
鵬学園の体験入学は毎年7月下旬に開催され、講師は私、しまもとが担当します。詳しくは学校のホームページを確認してみてください。
また、法政大学では私が担当するスポーツ心理学の授業の中で行っています。
直接「しまもと」に依頼する
高校生への導入事例としては以下のケースが考えられます。
- 総合的な探求の時間における自己理解を深める外部講師による研修
- キャリア教育における基礎的・汎用的能力についての外部講師による研修
- 運動部活動でのパフォーマンス向上に向けた外部講師による研修
特に1点目の探求の時間では、自分自身の特徴や価値観、興味・関心、能力(潜在能力)等について探求しようとするケースにおいて、ライフスキル授業は非常に向いていると思います。
社会をより良くするために地域課題等を探求することも大切だと思いますが、それらの課題解決に取り組む自分自身をレベルアップさせることは、より大切ではないでしょうか。
その点においてライフスキル授業は確実に貢献できるはずだと思います!
以上の内容を参考に、ライフスキル授業に興味・関心がある方は以下のリンクよりお気軽にお問い合せください。
まとめ
生き方のスキル・技能であるライフスキルは、生きる力であったり、人間力とも呼ぶことができるものです。
日本人の多くはある職業に特化した専門的な能力以上に人間力を大切にしているところがあると思いますが、その力を学術的かつ科学的に、専門的に学ぶことができるとしたらどう思いますか?
そのような人として大切な能力を、ライフスキル授業では表面的な理解や理念的な話に留まらず、より詳しく具体的に提示するとともに、その力を確実に身に付ける方法を伝授します。
2024年1月に地震で大きな被害を受けてしまった能登半島の私立高校において、これまでにない授業が始まっています!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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